この春、庭に芝を張るご家庭ではいずれ芝刈りが必要になります。芝刈り機はたくさんの種類があって、目的や芝生の管理方針によって「向き」「不向き」があります。

芝刈り機選びに失敗しないために、基礎的なことを理解しておきましょう。
手動リール式芝刈り機
世界で最初に発明された芝刈り方式でありながら、現在においても、最も芝の葉先を美しく仕上げることができる方式です。芝生の美しいさにこだわって頻度多く芝刈りする人に相応しい芝刈り機です。


この芝刈り機の大切なポイントは「葉先を美しく刈り込む」機械であること。芝の葉の長さへの適応範囲が狭く、その芝刈り機の刃の特性とドンピシャハマる範囲の場合、至高の仕上がりが期待できます。ゴルフ場のグリーンを刈り込むのはほぼ全てこの「リール式」である事からもお分かりいただけると思います。(数mm刈込み用の多枚刃のリール式が使われます。)


家庭向けのリール式芝刈り機は、概ね1.5cm〜2cmにベストマッチするもの(5枚刃)が多く、実際はちょっと無理してその前後を設定上カバーしています。刃が多いほど低刈りに適し、刃が少ないほど長い芝に適しますが、長い芝は葉自体がなびいてしまい均一に刃にあたりにくいので、そもそもこの方式は「長い葉は不得意」なのです。
さて、リール式芝刈り機は、芝を起こして押さえるベッドナイフの角度とリール刃切れ味が命の製品。精巧な刃物なんです。ホームセンターなどでは、6000円くらいから選択肢がありますが僕はオススメしません。(※良い物もあるかもしれませんが、そんなに安く作れる刃物ではありません)
芝生の手入れで最も頻度多く使う道具なので、ある程度高品質・ロングライフの製品を選ぶことが、結果として1回当たりの芝刈り機コストを下げるばかりでなく、芝の生体への負荷を下げ、健康に美しい芝生に仕上げられる可能性が高まると思います。
何より、品質の良い刃物は「使っているその時が楽しい」。これ、意外と大切な要素です。
高品質な日本刃物メーカー製を強くお勧めします。
オススメする中で最低限クリアして欲しいコスパモデルはコレ↓
なにより刈り込みをしているその時が楽しい道具とめぐりあうのが一番です。
刃研ぎで切れ味が蘇る
キンボシ製は、なんの技術がなくても「刃研ぎで切れ味が修復できる簡易研磨キット」が売っています。切れが悪くなってきたなと感じたら簡易刃研ぎをすれば、3年目も5年目も、自分でキレ味を修復しながら使い続けることができます。切れ味が落ち込んだら少し戻し、落ち込んだら少し戻し・・・1年か2年に一度くらいのペースでラッピング研磨して少し戻す。正しく使えば最終的に切れなくなるまでの間、3歩進んで2歩下がるような形で、切れ味曲線の落ちを低減できます。刃物が切れ味が生命線ですから、このロングライフがコスパに繋がります。(よく切れる時間がより長く)
丈夫でシンプルな構造なので、間違った使い方(石噛みや砂噛み)をしない限り壊れにくいです。国内製造ですので補修パーツも売っています。
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愛用ユーザーが多く、全国の実店舗で無料の刃研ぎ会などのサービスイベントも開催されますので、キンボシ社員さん、愛用家同士の交流を楽しんだりなんて機会も生まれるかもしれません。

趣味の家庭園芸にピッタリの機種です。
手動式芝刈り機高級ラインの解説と、キンボシ・バロネスの違い
こちらに詳細をまとめてありますので高級機もご検討されたい方はご覧下さい。
家庭用芝刈り機キンボシとバロネスの違い - 芝生の雑学 東京40まいる
高級機は価格相応の価値がある
最も違うのは刃の鋼材です。
芝刈り自体を楽しみたい本格派の方には高級機が向いています。芝生バリカン
お手軽で誰にでもイメージしやすく、初心者に選ばれがちなのがこのタイプ。しかし特性を理解しておかないと後悔する場合もあります。
このタイプは、3畳程度までの小さな芝生スペースの管理や、手押し式の芝刈り機が入れない狭い部分の「仕上げ」に向いています。バリカンの刃は消耗品ですので、あまり広い芝生を刈るのには向いていません。(コストがかかります)多枚挟み刃物なので替刃がそれなりに高いです。ある程度広いお庭だと、時間の経過と共に追加コストがかかります。使用1回あたり道具コストの観点、実作業イメージに照らしてお庭とご自身の管理スタイルをよく考えて選択することが大切です。メインの芝刈り機として検討する場合はこの点も考慮したほうが良いと思います。
ハマる人にはむちゃくちゃハマると思います。
サブマシンとして持つと、とても便利。リール式などの芝刈り機で刈り残すエッジ付近などの手入れには、ハサミよりも作業負荷を低減してくれます。
芝生鋏
実は意外と、芝生バリカンと同じことができちゃうのが、芝生鋏。
キワの仕上げについては芝生バリカンよりも優れていたりします。
キンボシ製の芝生鋏には3世代あって、真ん中の黄色が最も精巧な日本製です。絶版ですがもし見つけたら手に入れることをオススメします。

詳しくはこの記事をご覧ください。
日本製の本格「芝生剪定鋏」が生産終了 高品質が淘汰され、品質ソコソコで「安いモノ」が市場を占有する理由 - 芝生の雑学 東京40まいる
ハサミは究極に美しく仕上げる原始的手段ですが「刈り揃え」(いわゆる芝刈り)に使おうとすると手の一部の筋肉だけ負荷をかけて疲れたり手にマメができたりします。
この反復ハサミ入れ作業を電動で代行してくれるのが「電動芝生バリカン」。そういう補完関係です。
電動ロータリー式芝刈り機
あまり芝刈りが好きじゃない人、月1回程度しか芝刈りしない人なら間違いなくこのタイプ。
比較的伸びてしまった芝をバッサリカットするならこのタイプが向いています。刃の構造は雑草を刈り込む「刈払い機」と同じです。芝刈り頻度2週間に1回派は、リール式を選ぶかロータリー式を選ぶかの判断の分岐点。2週間を超えてくるならロータリー式を選んでおくのが無難だと僕は思います。水平に配置された円盤の回転刃が芝を側面から切り込みます。替刃がとても安く、単純な構造で壊れにくいので、コストパフォーマンスに優れ長く使えます。このタイプの特長は、刈り込み高の対応幅が広い事。
どの高さに設定しても同じように切断できます。

しかし、剪断は刃の衝突によって「刈り飛ばす」ので切り口はリール式に比べると美しくはありません。
あまり芝刈りにこだわらない人が、たった1台だけ購入するのであれば、このタイプがオススメ。
ここでご紹介する京セラLMR-2300は、超ロングラン製品ですので、品質は市場のお墨付きです。ただし、頻繁に芝刈りして低く緻密な芝生をつくりたいなら、このタイプではなくリール式を選択した方が良いです。
芝刈り頻度2週間に1回派は、リール式を選ぶかロータリー式を選ぶかの判断の分岐点。2週間を超えてくるならロータリー式を選んでおくのが無難だと僕は思います。
電動リール式芝刈り機
電動でリールが回転するタイプで、進行中に何度も刃が芝にあたりますので、手動式と違ってクロスカットをする必要がありません。サッチング刃や、根切り刃オプションもあるので芝刈り以外にも使えるのが人気の理由。
刃の枚数は芝丈の得意不得意に影響する
構造上、3枚刃の2310はどちらかというとレンジ高めの刈り込み高に適しています。
5枚刃の2810はレンジ低め適しています。芝刈り頻度が低い人は2310、高い人は2810を選ぶと良いと思います。(まぁ「どちらかといえば」という程度の差です。)それなりに高価な製品なので、仕上がりの美しさに徹底的にこだわる人は、手動リール式バロネス・キンボシ高級ラインも比較検討対象に入ってきます。
電動リール式のデメリットとして騒音は90db近くあります。庭で昭和の掃除機を使うくらいの騒音です。ご近所付き合いの観点で気になる人にはオススメできません。(騒音が気になって芝刈りを遠慮すると、結果としてリール式が得意とする芝丈ストライクゾーンを外すから)
また、切れ味のシャープさは、手動リール式の高級機には劣ります。お金をモーターにかけるか?刃にかけるか?の違いです。
ロボット芝刈り機
他の芝刈り機が「芝が伸びてから刈る」のに対し、「芝を伸ばさずにキープする」という唯一の方法です。
毎日自動で刈り込み、頂芽が伸びないので、脇芽の数が増え、概ね週2回以上の芝刈りに匹敵する芝密度が得られます。手動リール式芝刈り機との相性がよく、平日に自動で密度を濃くし、週末に緻密な芝刈りを楽しむ・・・なんてことが実現されます。
この春、まもなく家庭向けエントリーモデルの最新型が発売されます。興味ある方はご注目を。

該当記事 【新製品】ハスクバーナオートモア最新型2機種 家庭向けエントリーモデルも大幅進化! Aspire R4 & プロ機種415X - 芝生の雑学 東京40まいる
庭に一生懸命なロボットペットがいる生活

着せ替えを楽しんだり、ちょっと新しい庭の楽しみ方ですよ(^^)
芝刈り機の騒音徹底比較〜近所迷惑度を知る〜
芝生の美しさにこだわるほど、芝刈りの回数を増やしたくなります。そこで問題になるのが芝刈り機の騒音。

生活の中で芝刈りできるタイミングは意外と限られている人が多いです。天候やオーナーの自由時間の都合です。
夕方なら刈れるのに!朝なら刈れるのに・・・
今を逃すと来週まで刈れない・・・
そうやって機会を逃しているうちに芝生は伸びてボーボー芝密度がバラつくなんてことも住宅街では意外と多い。

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音量・音質も性能のうちです。
芝刈り機の騒音が原因で近隣トラブルになり、傷害殺人事件に発展した事例もあります。
芝刈り機の騒音問題を考える【事件】騒音を注意した人が倒され死亡 - 芝生の雑学 東京40まいる
芝刈りをしたくても近所迷惑になるからできない・・・
お住まいの環境によっては、芝刈り機選択における重要要素になります。
実機を使った音量計測動画。ご自身の目と耳で、音質・音量の違いを感じてみてください。
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2級芝草管理技術者
ゴールドグリーンアドバイザー
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