芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

【高騰すぎ!】日本製芝生鋏キンボシ2105が異常高値

みなさん、2021年9月に僕が書いたこの記事、覚えてますでしょうか?古き良き時代だからできた高品質な「日本製」の芝生鋏のお話です。この当時の想像どおりですが、価格は想定よりもヒドイことになってます。

tokyo40mile.hatenablog.com

今後、もし作ろうとしても鋼材の品質・価格、刃物職人さんの高齢化など、同じ高品質の製品を需要に見合った適正価格で生産するのはナカナカ難しいことだと僕は思います。復刻を願いますが・・・時代は流れ

これが日本の芝生鋏「2105」

当時はいくらでもお手頃価格で手に入れることができたのですが、製造終了から約3年半の時が経ち、常軌を逸した高騰になってます。

Amazonでの新品価格相場は9000円~1万円前後

絶版の希少価値だからコノ価格帯は仕方ないとして、ハサミって飾っておくものじゃなくて使う消耗品。かつてはお財布にも優しい高品質ハサミだったのに、今では経済的に余裕がある人しか使えない道具になってしまったのは悲しい。

中古で1万5千円とか、1万7千円とか・・・ありえん価格です

こんなに投資するなら、素直にドイツ製の高級芝生鋏、ガルデナを選んだほうが良いです。

今も、キンボシの後継機種は普通の価格で売っています

こちらの2104は日本製2105の1世代前のヒット商品。この機種は日本製ではないけど基本構造は同じで評判が良いです。使用感が一番2105に近い。まだ今でも供給は続いているようですね。(2105は製造の型枠である金型破損による生産終了)

どれも同じ芝生鋏。おそらく個別に購入したらその品質の違いはわからないでしょう。どんな感じか?はこのショート動画でだいたい雰囲気がお分かりいただけると思います。音量をあげてよーく質感の違いを感じてください。目一杯速くハサミを動かした比較。

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日本製芝生鋏2105をプレゼント

当時、僕が確保した2105については、チャンネルメンバーシップ継続1年以上の方、15名にプレゼントすることにしました。イイものは、芝生の勉強熱心な人に使ってもらうのがイチバン!一緒にこの素晴らしい道具を楽しみましょう。

応募要領は、メンバーシップタブに掲示しましたので、そちらをご覧ください。

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2級芝草管理技術者 プラチナグリーンアドバイザー

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人工芝と天然芝の違い、芝の種類の選び方、芝生の育て方の情報入手など 月刊『芝生の雑学』1月号 

1月は全国的に暖地型芝が休眠、寒地型芝も代謝が殆ど止まっていたり、雪の下だったり。年間で唯一といえる 芝生の手入れのお休みの月。今のうちに、今年の年間計画を立てたり、芝生の学習プランを立てておくことをオススメします。

人工芝と天然芝の導入判断の基礎知識

どっちを入れても、手入れしないと雑草が生えてきます。これは手入れしない限り「必ず」です。

施工から4年が経った無管理の人工芝

それどころか、インターロッキング、アスファルトやコンクリートでさえ、手入れしなければ、自然の摂理に基づいて植物たちが攻めてきます。

それはなぜか。日本の気候と土の性質などによって決まる植生遷移によるものです。

日本の気候では、海岸や高山などを除いてまず最初にコケが生え

1年生の雑草が生え

より深く根を巡らせる多年性の雑草が生えてくる

こいつらが朽ちると、土の中には空気と水の通り道ができるので、より大きな木々が生えてきます。そして陽樹と陰樹が太陽の光を奪いあって、最終的には日照について適応性が高い「陰樹」の森が出来上がる。

これを極相と言います。気候によって定められた自然の摂理です。

決して大袈裟なことではなくて、なにも手入れしない土地は、人間が生まれて生きている間にどんどん森に移行します。遷移のスピードは意外と早いんです。

僕たちがやってる家庭園芸の芝生というのは、この植生遷移を止めて、自分の好みの状態を維持すること。

日本の気候では自然には起こり得ない「不自然な」景観になるように、植生遷移を止める。ということなんです。

人工芝と天然芝 どっちにするか?

天然芝のメリットとデメリット

地温の引き下げ効果

庭の植物たちは「微気候」というごく狭い範囲の気温や風の流れをつくります。生きた芝は地中から水分を吸い上げ、葉の気孔から蒸散させることで温度調節してくれます。

常に新しい

生きた芝の細胞は常に新しいものに入れ替わってるので、植えたあと何年経っても新しい緑に入れ替わり続ける。これが天然芝の特徴です。

生き物を扱う故、必須の手入れがある

水やりや頻繁な芝刈りや適切な施肥など、生活の中で、生きた植物と向き合うことになります。それ自体を楽しめない人にとってはこれがデメリットになります。

 

人工芝のメリットとデメリット

施工後、数年(通常)は手間要らず

ちゃんとお金と手間をかけて防草と廃水を施工すれば、その後、数年間は、なにもしなくても緑の景観が保たれます。これが最大のメリットです。

施工した直後から劣化が始まる

生きた芝とは真逆です。除菌・抗菌や除草の薬剤の効果は次第に薄れていきますし、経年劣化してやがて雑草が生えてきます。

温度が上がりやすい(真夏)

また、蓄熱効果も高くなるので、夏場の日照ではかなり高温になってしまいます。

マイクロプラスチック等の堆積・流出(環境)

最近いわれている環境問題としてのマイクロプラスチック。

主に海洋汚染が問題視されていますが、水に流れて海に辿り着くのはほんの数パーセント。ほとんどのマイクロプラスチックは、お庭の土に残り、未分解のままその土地に蓄積していくという話を、とある土壌のシンポジウムで聞きました。

日照が充分なお庭なら自由に選択が可能です。

どちらにも一長一短あります。どちらがイイという話ではなくて、適材適所。

効果を正しく理解して目的にあった選択をすることが大切。日陰や天然芝を植えられないところなどに上手に人工芝を使って景観を整えるのもイイですね。

 

芝の種類と特徴 家庭での芝種選び

芝は生き物。その芝の特性によって、家庭での扱いに向き・不向きがあります。環境と方針に合った芝の種類を選びましょう。

我が家で実証している暖地型芝の種類

基本的に葉幅が広いものほど、光合成効率が高くて育てやすいけど見た目が荒い。

葉幅の狭いものは美しいですけどより多くの日照を求めます。

家庭の観賞用芝として育てやすいのは日本芝

本州の家庭観賞用であれば、伸びすぎず、生えなすぎず、月2回とか週一回くらいの芝刈りでも充分美しい日本芝が扱いやすいです。

主にホームセンターなどの店頭に並ぶのは、野芝、高麗芝、姫高麗芝です。

野芝

葉幅が広い野芝は、近くからみると少し荒いですけど、強く元気に繁殖してくれるので育てやすいようです。僕自身は育てたことがありませんが、サイトーさんが庭で見事に美しく野芝を育てています。

高麗芝

高麗芝は、一般に売られているものは様々な葉幅を持った個体の集合体です。とてもリーズナブルに流通しているうえ、庭の環境への適応性が高いです。10年、20年と経っていくうちにその庭に合った葉幅の割合が多くなって環境適応していきます。

姫高麗芝は、葉幅が狭くちゃんと刈り込みを続ければキメ細かで美しいです。

登録品種でないかぎり、実は高麗芝と姫高麗芝の境目は曖昧。この2つは荒削りには概ね同じと考えても大丈夫。好みです。庭の環境にあったものを選びましょう。

TM9

高麗芝の選抜種。育て方や芝刈り頻度は基本的に高麗芝と同じです。あまり芝刈りしない人にとって、普通高麗芝ほどボーボーに荒れにくい。同じDNAの個体が揃ってるので葉色が均質で長く伸びにくいという景観の特性があります。

公式ホームページに詳しく書いてありますのよく読んで選びましょう。

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バミューダグラスやティフトン419

スポーツターフとして用いられる繁殖力に優れた芝です。大勢の人の踏圧をうける公園や、子供達が遊ぶ広場などに適しています。人が立ち入り「使う芝」にはこの芝が適しています。

繁殖力が強いため、家庭の観賞用の芝として使う場合は、ローラーがけや頻繁な芝刈りがひつようになります。近年の日照が強い6月などは、繁殖力が強いため腰が上がってきちゃうこともあります。

セントオーガスチングラス

高麗芝が育たないくらい日照が悪いところで、最後の砦として選択する芝が、日陰に最も強い芝、セントオーガスチングラスです。日照が2時間か3時間あれば、刈込み高高めで芝生化できます。

3時間を超える日照があれば、このように2cmカットで緻密な芝生を形成することもできます。

寒さに弱い芝なので関東以西の選択肢の一つとなります。デメリットとしては日本では適合する農薬がほとんどナイこと。

マイナー芝にはそういうハードルもあります。

芝の種類選びは大切

そのお庭のその場所の環境に適合した芝の種類を選びましょう。芝が育たないところに無理に芝を張らないのも大切な判断です。

独りで悩まず、みんなで考える

家庭での芝生づくりは「孤独」になりがち。さまざまなトラブルが起こった場合、不安になることもあります。そんな悩みを解決する「有志の芝生愛好家」の集まりがあります。

ラインオープンチャット「みんなの芝生広場」です

家庭園芸芝生をやるなら、もう独りで悩む必要はありません。

芝生をこよなく愛する有志で運営されているLINEオープンチャット「みんなの芝生広場」って言います。このコミュニティのスゴイところは、志が高い運営陣がいて秩序が保たれていること。

みんなが平等に有意義な情報交換ができるように、秩序を保ってくれるので、ガセネタや売り込みの情報がはびこることなく、真に「実際にやっている人」の情報を得ることができます。

line.me

家庭で独りで芝生にチャレンジする方は、まずは「みんなの芝生広場」に入ってみてください。商用コミュニティではないので「人の心を気遣える人」なら、誰でも出入り自由です。

孤独で寡黙な庭の芝生管理が、人と繋がり分かち合う 楽しい芝生コミュニティの世界にかわります。

芝生づくりの年間計画を立てるのに役立つ雑学満載

月刊『芝生の雑学』1月号、ぜひ、ご覧ください。わからないこと、悩ましいことがありましたら、遠慮なく動画コメント欄からご質問ください。家庭園芸普及協会認定 プラチナグリーンアドバイザーの東京40まいるが詳しく解説します。


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次の動画か、ブログ、ライブ配信でお会いしましょう。

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月刊『家庭の芝生』1月号 本日 20:30プレミア公開

芝生の「なぜ?」に応える月刊芝生動画

2021年以来、4年ぶりの月刊動画「家庭の芝生」2025年1月号を公開します。1月は日本中殆どの芝生が休眠状態で、芝生の手入れの休暇のような月です。

今のうちに、年間の芝生計画を立てておきましょう。

1月号のテーマについて、近日、このブログでも詳細解説します。テキスト版もお楽しみに。よかったら、YouTubeのチャンネル登録もお願いします!

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謹賀新年!芝生は生きていくために必要なのサ

新年、あけましておめでとうございます!

本年もたくさんの芝生人に出会い、芝生の「なんで?」にこたえる雑学満載で情報発信していきます。芝生の雑学 東京40まいるをよろしくお願いします!

植物に興味を持つのは「進化した人類」

数年前の日本植物生理学会の松江大会のときに、偉い先生がこのコトをサラリと仰っているのを聞いて「なるほどなぁー」と、僕の深く僕の心に響きました。

動物は「生存本能」として、自分より動きが速いものに注目し、関心を寄せるようにプログラミングされているそうです。動きが速いモノから逃げ遅れると、自分の命を奪われてしまうリスクが高いからです。

一方、植物など、自分より遅い動きに対しては、自分の意志でとりあえずは如何様にでも対処できる。

自分より遅い動きの「植物に興味を持つ」のは、獣などの予期せぬ襲撃に遭うリスクが低い環境。人間社会に順応した結果、人間側が進化(次の関心を発見)した・・・というのが、その時の話。なるほどなぁーと思い、高校生たちの前でもこのことを話しました。


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動きがあまりにも速すぎる社会

この動画で高校生にお話したのは2024年1月27日。その後、たくさんの種類の生成AIがこれまでにない頻度で相次いで生まれました。ChatGPT自体も進化版のChatGPT4が出て4oで人間の対話スピードに対応できるようになり、もう一つ別の論理推計モデルOpenAI o1が出て、それも間もなくo3に移行しようとしています。

生成AIも社会も、一年前と今では様変わり。想像をはるかに超えて進んでいますね。もはや1年前の話とは思えないくらい「大激変」の嵐で今を迎えています。

12月には、動画生成モデルsoraが、ついに一般利用できるようになりました。


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社会のスピード自体が、人間を襲う脅威になる時代

僕が社会に出たときは、会社の上司に「稟議書は字を見れば本気度がわかる」とか言われ、何度も一から書き直したりしました。深夜残業して真夜中にタクシーでフロッピーディスクを届けにいったり、「忙しい」中にも「心の休息」のゆっくりした時間はけっこーあったと思います。

今は、瞬時に情報取得して即考察して判断して、次の情報を取得して・・・超超超高速回転で何でもできる社会にどんどん変わっています。

「人間らしく」休息する時間など、ほとんどなく・・・いや、「無い」んじゃない。モッタイナイんです。ゆっくりなんかしてたら。だって、いくらでも前に進めるんだモン。だから夢中になって、余暇もスマホばかりイジルw

だからこそ、余暇は自分より遅い動きの植物と向き合うことが大切

余暇や休暇は「自分らしさ」を取り戻す大切な時間。超高速回転の社会だからこそ、そこで全開で闘うには、オフタイムは自分より遅いモノに向き合い、じーっくり目でみて肌で感じ、においを嗅いで触れてみて、その小さな変化とイノチの感動を思いっきり味わう生物としての「感度」を鈍らせない努力も必要だと思います。

生理的生息域は、自分で意識してつくらないと蔑ろにしがち

2021年の日本芝草学会春季大会では多くの演者から、コロナ禍で異常な環境下での「芝生」の在り方が語られました。

人間(に限らず動物全般)には、自分が生命を営むのにもっとも適した「生理的生息域」と、他のモノ(社会)の影響を受けながら生きるために選ばなきゃいけない「生態的生息域」があるそうです。

  • 生理的生息域 ・・・ その生き物が本来生きていくのに最も適した環境
  • 生態的生息域 ・・・ その生き物が生きていける環境(競合・制約条件)

コロナ禍、会社にも行けず、家にこもってひたすらテレワークに徹していたビジネスパーソンがどうなったか?なんと公園の芝生に集まってきちゃったんですねー。

2021年10月28日 東京晴海の黎明橋公園 踏圧からティフトンを護るためのオーバーシード


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コロナ禍、通常ではあり得ないくらい、人が芝生の公園にあつまってきて、芝が踏圧でズタズタ・・・なんてところが相次いだのが、2021年の芝草学会春季大会での話題です。「人の”生きる本能”が緑を求める」(生理的生息域)

それはナゼか?

人も「光合成」の恩恵を食べて生きているからなのだと僕は思います。

ご飯は、イネが光合成でつくった同化産物のかたまり

緑があるところに「安らぎ」を感じるのは、緑があるところなら生命活動のエネルギーを摂取して持続的に生きていけることを知っている。植物の緑の中に居ると本能的に安心するんです。人間の生態的生息域って、そーいうことなんじゃないかな?と僕は思います。

【余談】

後に学んだのですが、海岸付近にある松林、あれは「生態的生息域」なんですね。多くは人間の手によって防風林として植えられたものですけど、他の高木の植物が生えることができないから、砂の上でもアーバスキュラー菌根菌ととてもよく共生できる陽樹のマツだけが繁殖できる。

本来は、もっと山の土に住みたいそうですよ。そこにはもっと成長が早い陽樹や高木の陰樹がいて日陰にされてしまうから、長くは繁殖できない。本当に住みたいところを追いやられて海岸に仕方なく住んでいる。そんな目で海岸のマツ林を見るとほっこりしますwこの話、出処を忘れました。

海岸沿いで生きていける理由については、この本に詳しく書いてありますので読んでみてください。(P104からが、海岸クロマツ林と菌根菌についてのお話です)

植物の話題いっぱいのオフタイムをつくりましょう

僕自身、多くのみなさんと同じ。平日は丸の内で働くビジネスパーソンです。植物とはまったく関係ない仕事をしています。だからこそ、オフタイムは思いっきり「芝生」と「芝生人」に向き合って時間を過ごす。

庭にも生理的生息域をつくってます

これが、僕の「生理的生息域」のつくり方です。

僕の最大の強みは「わからない」がワカルこと。どーしたらワカルになるか、自分自身の体験で知っています。(経験したばかり。今も日々経験しているからw)

今年も、たくさんの素敵な人との出会いと感動が待っているに違いない。

そこから得られた素晴らしい学びを、どんどんみなさんに共有していきたいと思います。

本年も、よろしくお願いします!

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4年ぶりに「月刊動画」を復活させるのが僕の抱負です。めんどくさい「芝生作業」を愛情いっぱいの「芝生の手入れ」に変える!旬な、面白い雑学を語っていきます。興味ある方はチャンネル登録をよろしくお願いします。

今年は、スゴイことしますよ。乞うご期待!

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新刊『土と生命の46億年史』土の研究者 藤井一至・著 は学びの高速回転!

年末年始の連続休暇にコノ本をオススメします!学びの高速回転です

土の研究者 藤井一至先生の新刊書籍『土と生命の46億年史』が、12月26日から本屋にならびました。今回も「藤井先生の本が出るよ!」と、いち早く教えてくれたのは、芝学友のイクシバ!尾木さんです。9連休の入口、仕事アタマから自由発想のアタマに切り替えるスイッチにこの上ないタイミング。

僕の動画やブログを見ているすべての人に読んで欲しい、素晴らしい書籍です。内容(ネタバラシ)はお話できませんが、この感動をお伝えします。

発刊前の藤井先生のnoteには「お近くの書店でお買い求めいただけると近所から書店が消える潮流に微力ながら抵抗できます」って書いてあります。

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ホントにそーだなと思い、久しぶりに本屋で買いました。

この日は会社の最終日。納会を終え、夜の帰宅の特急電車で読み始めました。

タイパがスゴイ本

世の中の価値観はすっかり変わってしまって、昔のような「長編大作映画」の時代から、今はNetflixの脚本が大ヒットする時代。

この本には、そんな斬新さを感じます。始まりから終わりまで短編知見の連続で、次から次へと仕掛けてきます。それがずーっと一筋に流れるテーマで連鎖しながら、途中ではっきりと目的を自覚して最後まで続く。高速回転についていくうちに「生命の営み」のメカニズムがどんどんアタマに入ってきて、本当の「土」が見えてくる。そういう作風だと僕は感じました。藤井一至先生の研究者としての思いを知るために、これほどに広範なことを知らなきゃいけない。人生をこの道の研究にかけた人の深さを感じます。
トイレに行く間がないくらい吸い込まれて一気に最後までいってしまいます。

そのコトを、LINEで芝学友の尾木さんに「この本スゲー!!」って伝えたら、「まさにコレだね!」って、直木賞作家 今村翔吾先生の動画がかえってきました。

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僕も11月にTikTokの研修会で、ショートドラマで爆発ヒットを連発しているごっこ倶楽部さんの脚本の極意を学んだばかりです。

藤井一至先生の新刊を読んで、アタマへの入り方・攻め方にとても重なる点を感じました。

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この時代を生きる若者の思考とコミュニケーションするには、タイパがものすごく大事。古いアタマの人にとっては「速すぎる」と感じるのかもしれません。

そーなったら、もう「おじさん」です。老いては子に従え・・・若者から学びましょう。

『大地の5億年』と どう違う?

前作『大地の5億年』は、一般の人が読みやすいペースで物語ってくれる内容だと僕は思います。面白いエピソードや世相を踏まえた脱線をちりばめながら「土に興味がない人」でも引き込んでいくストーリー。

新刊『土と生命の46億年史』では、土の研究者 藤井一至先生がどんなご思考で土と向き合っておられるのか、その全体像の概略(先生にとってはほんの一部かもしれませんが)をアタマの中で疑似体験できる内容だと僕は思います。

『大地の5億年』で藤井一至先生のファンになった人や、さまざまな分野で植物にかかわる人達を、土の研究の世界にぐーーっと引き込んでくれます。土の研究者は土だけを見ているのではなく、化学も生物学も、、、果てしなく広がる世界の中で「土」を見ているのだということ。

僕の独断と偏見に基づく感想としては、前作よりは上級者向きカナ?と思います。(これが熱心な芝生愛好家にオススメの理由なのです)

難しいことを「ものすごくわかりやすく」

難しい化学式や電荷のお話を、ラグビースクラムや、新幹線の3列席の窓際と通路側でのトイレの行きやすさ。トイレに行くためのエネルギーの違いで解説されていたり、「ほっこり」しつつ、なるほど!これ以上わかりやすい説明はない!と、嬉し笑いする記述も、あちこち仕込まれております。

この点が”作家として”の藤井先生節の大好きなところ。前作よりは控えめで、ちょっと懐かしさも感じます。

大地の5億年の表紙

読書は、ご自身の思考で読み解きながら攻略していくからこそ、この本の世界観に自分が浸ることができる。ネタバラシはいけませんのでこのへんで。

藤井先生がこの本を通じて伝えたいこと、「目的」は、ずばり、中盤と最後に書いてあります。きっとココまで辿り着いてから知るのが一番良いからなのでしょう。ぜひ、読んで、ものすごーく考えてください。

知っておくともっと面白い!「生命」について前提知識

この本を読むにあたり、まったく生物学を知らない人に見て欲しい動画があります。

僕のオススメは、生物学者 福岡伸一先生の「動的平衡」です。生命とは、自らを破壊することでエントロピーの増大の法則に逆らい、絶えず入れ替わりながら一時的に「カタチのようなもの」を形成しているツブツブの集まり。

www.fukuokashinichi.com

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福岡伸一先生の生物学「動的平衡」を知ってから、この本を読むと一層、生物たちの役割の理解が深まり、合わせ技で読書の感動が増し増しになります。

『土と生命の46億年史』を読んで僕が気づいたこと

ネタばらしはイケマセンので、僕がこの本を読んだことで繋がった思考の断片を語っときます。何を言っているのかは本を読んだあとわかります。

月の土を研究している少女

去年の12月の土づくり推進フォーラムシンポジウムで、「月の土で植物を育てる研究」のためにアメリカに留学しているという女子高生に出会いました。
このことか!! また会いたくなりました。

街なかで見かける、アスファルトを地衣植物が覆う現象

やはりそーか!!

https://youtube.com/shorts/5et9wbGZ9oI?si=I-6cexy2C_5c9Tnz

サーキュラーエコノミー

ついこの前出席した「国内有機資源の利活用の現状と将来展望」シンポジウムで聞いた、「食品廃棄物の食品リサイクル堆肥の活用」四国での成功事例は、もしかしたら藤井先生がおっしゃることの「日本版」かもしれない。

僕がやっている芝生づくりとは、植生遷移を不自然に止めること

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その他、炭素循環を研究している人のお話や、青木さんと盛り上がったフルボ酸のお話や、この一年、出会ってきた人たちとの会話の話が、次から次へとめぐってきました。

僕のような、アマチュア探求家にとって、本業からこの世界への思考のFULLシフトにこの上ない教材です。『土と生命の46億年史』にめぐりあってよかった!

プロ・アマ問わず、土と植物にかかわる人には、必見の新書です。ぜひ、この年末年始のうちに手にとってくださいね!!圧倒的に「タイムパフォーマンス」高く学びと気づきを得ることができます。せっかくの休暇。充実の時間を過ごしましょう。

土のお話には、微生物のことがたくさんでてきます

併せて、こちらの本も読むと、一層、微生物の理解が深まります。

初心者の人にまず、オススメの本『土壌微生物の世界』

講演会に出席をした人も多いと思います。染谷孝先生の本です。物語のようにこの世界のストーリに入っていける本です。

土壌微生物に興味を持ったなら

もっと知りたい!というスイッチが入ったなら、齋藤雅典先生の本です。この順番で読むことをオススメします。こちらは研究成果をまとめた、少し教科書に近いイメージです。

さて、たった9日間の年末年始の自由時間。やりたいコトは尽きませんね。良い学びにめぐり会い、有意義な休暇を過ごしましょう。このタイミングでこんな素敵な書籍にめぐり会えたのが、幸運です!

このブログ、乱文・支離滅裂かもしれませんが、僕は昨夜この本を読んで激しく興奮しているのです。イイ本です!!読んでこの喜びを分かち合いましょう!

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1月から、家庭園芸芝生向けの「月刊動画」シリーズを3年ぶりに再開します。芝生づくりに興味がある方の、芝生育てのスパイスとして「芝生の雑学」はいかがですか?

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芝生研究会「シバプロ」で学びました! 日本大学生物資源科学部

大学院生の伊藤くんと初めて会ったのは、日本芝草学会の秋田見学会の時。「東京40まいるさんですよね?」って声をかけてくれました。

僕が「植物の魅力」に気づいたのは50歳手前。人生、戻れるものなら「学生時代に戻ってこの道でやりなおしたい!」と思っているのです。だから現役大学院生としてこの道に進んでいる伊藤くんに胸ときめき「いつから芝生の魅力に気づいたの?」って尋ねたのが最初の会話。(中学時代のサッカー。芝生上でのスポーツ体験がキッカケだそうです。)

伊藤くんが卒業の年を迎え、芝生研究会活動の集大成としてシバプロを開催すると聞いたので、学会校庭芝生部会のみなさんと共に、僕も行ってきました!

会場には、芝生の神様、佐野忍さん、つい2日前も土づくり推進フォーラムで会ったばかりの佐野綾さん、石井力先生とGV部高校1年生クリス君。

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藤崎健一郎先生とイクシバ!尾木和子さんも合流。研究室の小島先生、現役院生、大学生のみなさんと交流してきました。

僕は、暖地型芝しか育てたことがナイので、寒地型芝草については「教科書の知識」しかありません。こういう場で生きてる寒地型に触れて学ぶのは貴重な機会です。

芝生研究会のシバプロと共同開催で、「樹木名板設置活動」の展示があり、学生さんが詳しく説明してくれました。

なんと、製作コーナーで名板づくりの実体験ができる!! ハマりました(笑)

ハンダゴテで少しずつ焦がしながら進めていきます。

その間、僕は無言でしたので石井先生がこーやって撮ってくれましたw

約40分くらいかけて完成!

終了後、小島先生の研究室におじゃまさせていただき、学生のみなさんとの交流会です。

それぞれが、世代・立場を超えて「芝生との関わり」を語り合いました。

 全員が2000年以降生まれ。僕にとっては「つい最近」の新しい時代。彼らはデジタルの中で人と繋がり生きてきた。僕の人生とは育った景色がまるで違います。「これからの時代は若者に学べ!」なのです。彼らの「あたりまえ」は、僕にとっては実に興味深い話ばかり。

時間は短かったけどお話し聞けてよかった。ここの学部は、生物・植物に携わる人ばかり。みんなそれぞれの専攻で「イノチ」の研究をしている人達だから素敵です。

そして高校時代や大学時代にコロナ禍の異常な環境を経験したみなさんです。この時代の学生さんたちの価値観や人との交流の歓びなど貴重な一次情報。

話は尽きずトイレに行く間合いがとれないほどw 「はい!トイレ休憩!!」と言わないと誰も行きやしない😆 ココにきてよかった!

僕は、みんながうらやましくて仕方がない。これから社会に出て長い長い新時代を生きていくのだから。学生のみんな、先生方、僕たちもそれぞれに想いを語り合いました。

「人と人」が交流するって素晴らしい。僕は芝生よりも、芝生を通じて「人と交流する」ことが好きなんだ。と、あらためて自覚しました。

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芝生に携わる様々な有識者のみなさんのご講義・ご講演や、芝生の生育にちょっと役立つ雑学などを発掘して、チャンネル登録者さんに配信しています。

興味がある方は、ぜひ、チャンネル登録をお願いします。

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土づくり推進フォーラムシンポジウムに出席してきました

年間で最も大切に出席している勉強の場、土づくり推進フォーラムシンポジウムが、12月19日に開催されました。資格を取得して以来、年2回の開催時には必ず出席しています。今回のテーマは「国内有機資源の利活用の現状と将来展望」。この場でしか学べない貴重な現実論も踏まえたお話を伺うことができました。

土づくり推進フォーラムご案内

取材登録メディア以外は撮影NG。だから画像はありませんが、今回も会場には大勢の人が出席し、さらにWEBで視聴している人は別途約100人いたそうです。

初めて出席した頃はまったく伝手がなく「たった独り」で飛び込んだアウェイな場でしたが、今では松本会長、猪股副会長、瀬川専務とも懇意にしていただき、肥料・植物、食品生産分野をはじめ幅広い諸先輩方との再会をよろこぶ貴重な交流の場となりました。

今回、特に嬉しかったのは、LawnCare+から、グリーンマスターズ清水の佐野綾さん(静岡)と、肥料メーカーミズホの大橋さん(愛知)も出席してくれたこと。二人とも未来ある、30代、20代の若者でこの道のプロです。

若者2人は、日本の土壌学の最高権威である松本 聰先生から「あなた方は素晴らしい!!」とのお言葉をいただき、キラキラと輝きながら帰っていきました。

「先生、僕は?」とおねだりしたら「あなたは元々がんばってる!!」と仰っていただき、僕もキラキラと輝いて帰りました。

土づくり推進フォーラムシンポジウムは、各回のテーマにおいて、その道で実践・研究をされ高度なご知見をお持ちの登壇者によるご講演と、会場参加者の質疑応答・意見を交えた総合討論、終了後には約2時間の懇親会(希望者)があります。

半日で、とても大きな学び・気づきを得て、人と人との交流もできる。素晴らしい機会です。この道を目指す学生の方、資格を取得した人・土壌医検定に興味がある方は、ぜひ、ご出席されることをオススメします。

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日本中の有識者さんとの交流から、家庭園芸に活かせる「雑学」を発掘し、チャンネル登録者さんに配信しています。あなたの芝生づくりのスパイスとして、「学び」の情報源にご活用いただけたら幸いです。

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