芝は植物。その生理代謝をつかさどるのが「環境」「芝の状態」と、これに反応した「植物ホルモン」の作用です。(主に異なるホルモン同士の濃度バランスによって各器官の細胞の動きが変わる。)
春になって暖かい日が続いて、芝は春だと思っているのに、突然、真冬の寒さに戻る「寒の戻り」。暖冬の年ほどコレが多いですね。2024年の春は当たり年。
芝を寒の戻りで休眠モードにさせないことがポイント
とある著名なグラウンドキーパーさんから、「高麗芝やティフトンなどの暖地型芝は、春の立ち上がりでは、早めに肥料をあげてはいけない。なぜ?」という旨のクイズがLineが届き、僕はこう答えました。
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【東京40まいる】
春の施肥は、葉がそろってちゃんと生理代謝が始まるタイミングが良いと思っています。ご飯(太陽の光・光合成)をちゃんと食べ始めてからオカズ(肥料)。
でも、昔から「諸説あり」みたいですね。なにしろ芝は萌芽から2週間後くらいにはちゃんと根が活動しますから。
【某著名キーパー】
(寒い地方では)早く施肥して遅霜に当たったら芝生動かなくなる。
【東京40まいる】
「寒の戻り」で一時休眠とか。
【某著名キーパー】
そういうこと!流石です
【東京40まいる】
ですねー。春は蓄積で立ち上げさせて、完成してから施肥。
はやめに食わせると「秋と同じプロセス」になっちゃうから、芝が勘違いして一時休眠に向かう。と云われますね。寒の戻りで。
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一応、ボク、有資格者ですからね(^^;) ははは・・・(なんとか切り抜けたぞw)
クイズに答えていて思ったのです。「消費成長のプロセス」では、春の肥料を遅らせることで一方向に備蓄エネルギー・備蓄養分だけを消費させ続ける。
それによって「春の芝を起動モードを継続させる」という効果も、もしかしたらあるかもしれません。(あくまで仮説ね😊)
「植物ホルモン」の分泌バランスは、植物生存の長い長い歴史を重ねる過程で「遺伝子の多様性」と「種の生存競争」によって数々の犠牲と共に培われた生命の神秘。
植物が「今、生き続けている理由」そのものです。まだまだ未解明なことも多いそうですが、これを知ることは何とも面白いではありませんか!😊
ちなみに、僕は2022年の冬から春に、早期施肥区と非施肥区を設けて「寒の戻り実験」を試みましたが、こういう年に限って寒の戻りがなかったwww だから実体験はありません。今年は絶好の寒の戻り実験の年でしたね。(もう、遅いですがw)
【芝生の雑学】春の暖地型芝が辿る4つのプロセスとは?
これは基本中のキホン。高麗芝やティフトンなど暖地型芝を育てている人は、これを知ると芝との付き合い方が変わります。雑学は「知らなくてもイイ」けど、「知っていたらもっと良くなる」そーいうものです。
春の暖地型芝が辿る4つのプロセス。興味ある方はご覧ください。
YouTube解説動画はコチラ
寄稿記事はコチラ(アルム農材 農業マガジン)
まぁ、僕ら趣味の家庭園芸では、肥料を早撒きしようが遅らせようが、大した差はない。
芝は強し!じきに春は必ず来る。そうしたら芝は美しく育っていきます。
むしろ、肥料の早期散布の問題は「雑草の繁殖」にあらわれることのほうが多いと思います。
特に、晩秋にスズメノカタビラの対策をしていないご家庭では、これからが大繁殖期。芝がまだ本調子ではないので、元気な雑草がグングン肥料を奪って成長します(しやがりますw)。
スズメノカタビラは、芝によーく似てる(というか、寒地型芝の一種)ので、芝の新芽と勘違いしちゃう人もいるかもしれませんね。でも、これは美しい芝生づくりを目指す人にとって「雑草」です。
なぜ、芝生・土・植物の勉強を続けるのか?
上記の問答は、究極を突き詰めるJリーグサッカーピッチのキーパーであるが故の、繊細な感度なんだと思います。芝の生育についての緊張と抱える責任が違います。
常に芝の生命の瞬発力を最大限引き出し、ターフクオリティー・プレイングクオリティーを発揮し続けるのがスタジアムキーパーの皆さんのお仕事。
「自動車の運転」に喩えると、F1ドライバーがサンデードライバーに語り掛けるくらい、”感度に大きな違い”があると思います。
だから、僕のような「芝生の通訳(解説者)」の存在はきっと必要になる。
ボクはF1ドライバーのお話、もっと理解したいから、もっと勉強する。
大いに参考になります。ありがとうございます!
最近の気候を踏まえた、こばなし でした。
YouTube次の本編動画では、いよいよ「アルムグリーン」と植物ホルモンの作用についてお話します。お楽しみに!
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次の動画か、ブログでお会いしましょう。では、また!