芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

芝の漢方農薬アルムグリーンで強靭な根をつくる

なんで芝の根っこがあんなに増えるの??の謎。一緒に紐解いていきましょう。

これを理解するためには、植物の生理代謝を知らないといけないのでちょっとだけ専門分野の話になりますが、知っておくと芝生管理のさまざまな場面で役立ちますよ😊

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このショート動画の「わかった!!」って叫び😭
いったい何がわかったのか、このブログですべてお話しします。


アルムグリーンの作用機序(何がどう作用して芝が強くなるのか?)が知りたくて、広島健福山市松永を訪問し、植物の仕組みや生薬・酵母を扱う専門家、アルム農材丸山さんにお話を聞いてきました。

わかった!アルムグリーン。芝を植物ホルモンで勘違いさせるイイトコ取りの作用とは?

まずは結論から。つまり!地下にある根っこに、あたかも「キミ!地上は葉っぱも茎もボーボーだぞ!!大至急根を増やせ!」と勘違いさせる薬だったんです😊😊😊
地上が猛烈に伸びてるからコレを支える根はしっかり補強しなきゃいけない。

植物生理の仕組みをうまく活用して、植物ホルモンのバランスをちょっと操作してあげる行為。それがアルムグリーンの「定期散布」なのです。

なんのこっちゃ?

これを理解するためには、まず、芝の基本的な性質を理解する必要があります。だいじょうぶです😊
ものすごく丁寧に、順を追って解説します。これを読めばわかるハズ😁

【芝のキホン】根は、地表部の茎葉が長いほど深く伸び、短く刈り込み続けると浅くなる。

道端で雑草化した「芝」は、だーれも刈り込みをしないので茎も葉もぐんぐん伸び、これに伴い強靭な根を手に入れて、コンクリートの僅かな隙間にもグイグイ切り込んで生息域を広げます。
一方、人間が頻繁に刈り込んでいる「芝生」はある一定以上はなかなか根が伸びません。

これは、芝の「姿」を司る「植物ホルモンの働き」によるものです。

【芝のキホン】頂芽優勢は芝生にも当てはまる

植物の多くは、太陽の光をより効率よく葉に当てるため「頂芽優勢」っていう仕組みを持っています。

つまり、一番上にある芽を優先して側芽(直下にある脇芽)の成長の邪魔をする・・・という自然の摂理です。

「芝刈り」というのは「頂芽の繁栄の邪魔をする」っていう人為的管理。頻度多く刈ると頂芽からの植物ホルモンの生成を鈍化させて、脇芽を邪魔せず芽数が増え、芝生の密度が濃くなる・・・というワケです。

【芝のキホン】緻密な芝生を作るためには芝刈りの「頻度」が大切な理由も植物ホルモン調整

ちょっと脱線しますが、「芝刈りを頻繁にすると芝生の密度が濃くなる」のは、つまり、頂芽から出る植物ホルモン(オーキシン)の生成を抑える・・・ということなんです。

だから適正な芝丈である限り、週1回よりは、週3回の芝刈りの方が密度が濃くなる。
上に伸ばさない時間が長いほど、頂芽からの植物ホルモン生成を抑えられる・・・というワケです。

究極の芝刈り。「いつでも刈り続ける」を実践するとどーなるか?

オートモアは頂芽からのオーキシン生成を抑える機械だということができます。「頂芽を伸ばさない」から、頂芽から植物ホルモン(オーキシン)が落ちてくるのを最小限に抑えられる。

初めてオートモアを導入するとみんなビックリする「ロボット入れたら芝がめっちゃ濃くなった!!」の植物生理的な根拠はコレです。
面白いでしょ?😊

本題に戻ります。ここからが沼w

植物ホルモンオーキシンとサイトカイニンの働きを理解しよう!

人間の体の成長にもホルモンの働きが複雑に機能しあっているように、植物の成長・姿カタチを司るのはさまざまな植物ホルモンです。
これらがひとつひとつ独立しているのではなく、複合的に作用しあいながら、植物の成長・その結果生じる植物の「姿」や「代謝」、「寿命」を形成しています。

実はまだまだ未解明なことが多く、近年になって「新たな発見」が相次いでいるのが植物ホルモンの世界。

シンプルに芝の成長・姿に強く作用する2つのホルモンだけを理解しましょう。

オーキシン

  • 細胞分裂を促進する植物ホルモンです。
  • 芝の一番高いところにある頂芽で生成されます。
  • 重力に引かれて「 高いところから低いところへ」不可逆的に移動します。
  • 芝の脇芽(芽数)を増やす、サイトカイニンの生成の邪魔をします。

サイトカイニン

  • 脇芽を活性化する植物ホルモンです。
  • 根幹部(下部)でつくられ茎部に含まれます。つまり「低いところで作られ脇芽(高いところ)へ」移動。

芝生づくりにおける2つの植物ホルモンの作用

芝刈りをせずに、葉を伸び放題に放置しておく場合

  1. てっぺんの芽が充実するにつれ、オーキシンが盛んに生成されます。
  2. オーキシンは次第に茎を伝って降りていき、根本付近の濃度が次第に上がってきます。
  3. ある一定以上の濃度に達すると、サイトカイニンの生成器官の動きを阻害して、脇芽の活動が鈍化します。
  4. するとエネルギー・資源は、一番伸びている茎・葉に重点的に配分されて茎が上に伸び始めます。(節間伸長)
  5. オーキシンは、さらに下部へと移動し、最終的には根の先端部にある根冠付近に溜まって次第に濃度をあげていきます。
  6. ある程度の濃度に達すると、根は細胞分裂を盛んにし、雑草のように強く逞しい根を形成して、大きくなった地上部の茎葉を支えます。

こうして雑草のような「疎で強い芝」ができあがります。

頻繁に芝刈りを続けた場合

  1. てっぺんの芽の勢力は常に芝刈りによって抑えられるので、オーキシンの生成が穏やかになり、なかなか下部に降りていきません。
  2. だから、サイトカイニンの生成は阻害されず、脇芽が次から次へと増えていって、密度の濃い「芝生」が出来上がります。
  3. 根のオーキシン濃度は、あまり上がらないので、根の伸長も穏やかになります。

こうして、密度の濃い芝生になり、根は必要以上に伸びなくなります。

密度の濃い芝生が、雑草のように強い根を手に入れたら芝はもっと強くなる!

つまり「イイトコ取り」を狙うのが、漢方農薬アルムグリーンの役割です。

バイオフィルムの下では、天然生薬に自然付着した酵母たちが2年間の時をかけて発酵をすすめ、IAAという「オーキシン」をつくっています。

つまり、アルムグリーンが農林水産省から効果のお墨付きを得ているのは、このオーキシンによる発根促進作用(植物成長調整剤)です。

これを化学薬品に頼らず100 %天然生薬だけで成し遂げているのが、アルムグリーンのすごいところです。

なお、アルムグリーンは生産に発酵工程2年もかかるので「急な需要」には対応できません。ウィスキー🥃と同じですね。売り切れたらそのシーズンの出荷は終わり。
だから、毎シーズン、お庭で必要な年間使用量は2月頃までに調達確保しておくと安心ですよ。

保管は陽の当たらない室内が良いです。出荷後も酵母が生きてますので😊

【解説】アルムグリーンによる発根促進作用

つまりこういうコトです。

  1. よく芝刈りしている芝生は、葉の密度が濃いが根は浅い。
  2. 適正濃度のアルムグリーン(オーキシン)を散布することで成分が根から芝の体内に吸収される。
  3. しかし、オーキシンは上には上がらず、下へ下へと根の先端部に移動する。
  4. 根の先端部はオーキシン濃度が上がったので「地上が雑草のように高く伸びてる」と勘違いして、オーキシンの作用で細胞分裂を活性化。

結果、逞しく根が伸長して、雑草のような強い根を持つ強い芝が出来上がる。

これがイイトコ取り、アルムグリーンの真の作用だったわけです。
このショート動画で僕が「わかった!!😊」
って言った瞬間、僕はコレを理解したワケw
ガチわかった‼️😆アルムグリーンは芝を勘違いさせて根を増やす⛳️芝生観察10月8日 - YouTube

理解するのに3年もかかった

アルムグリーンが効果があることは、この動画を作った2020年春には知ってました。

www.youtube.com
でも、作用を理解するためには、芝のこと、植物のこと、土壌のこと・・・一通り基礎的なことを理解してないと、いきなり「オーキシンが・・・」なんて言われても「それってなんですか?」ってことになって😅相手が説明を諦めちゃう。

専門家に話を聞くには、こちらも最低限度の基礎知識を持っていないと、目線が合いません。この2年間、本当によく勉強📖しました😊

もし、3年前の僕がアルム農材さんを訪問しても、きっと「なんかスッゴ!!」「難しい!!」っていうレポートしか書けなかったと思いますwwwww
これじゃ、丸山さんが輝いてくれないwww

一人の真剣な学習者として、真摯に向き合って一生懸命教えてくれた、丸山さん、藤原さんをはじめ、アルム農材事業部のみなさんに心から感謝します。
とても嬉しかったです😊 ほんと真剣に勉強してよかったー
みなさんのおかげです!!この日を迎えられてヨカッタ
出会いに感謝😊

登録農薬であるが故の情報発信の制約

アルムグリーンは100%天然生薬でありながら農薬登録されている「本物の農薬」。
法律の縛りがあって、登録以外の効能を製造・管理者が語ることができません。

実は、「きのこが生えない」とか「外虫が減少する」ことにも効能の根拠があることを知りました。

「全部、農薬登録しちゃえばイイじゃないですかー!!」って素人の僕は思います。

でもね・・・農薬登録ってものすごくハードルが高くて、実証して登録を受理してもらうために何年もの長い歳月と「億を超える費用」がかかる上、品質を常に一定に保ち続ける(品質保証)ために大変な設備投資(設備・人)も必要になる。

なので一点「植物成長調整剤」として登録するに留まっているんですって。

農薬というのは「同じ使い方をルールで徹底し、同じ効果を農林水産省がお墨付きする」というものですから、効能の証明と引き換えに「ルールに縛られる」ということでもあるのです。

そういうことも理解して初めて「真実」。
とても勉強になりました。

アルムグリーンに含まれる生薬と効能の関係については、いずれ整理してみなさんにお伝えしたいなーと思っています。

植物の本当の不思議、芝生の奥深さに共感する人を増やします

僕はもう、この植物の世界が面白くてたまりません。
おかげさまで、今では専門家のみなさんの方から声をかけてくれることが多くなり、毎月、さまざまな所を訪問して、新しい学び・気づきの宝庫の日々です。

これからは、一緒に芝生を勉強して、ネット検索ではたどりつけない「深い理解と感動」を楽しむ集団(仲間)をつくっていきます。


近日、芝生の雑学 東京40まいるでは、「チャンネルメンバーシップ」を開始します。
2024年からは、専門の知見と家庭芝生を繋ぐ情報の架け橋としての機能も強化していきます。
発表をお楽しみに!

僕にしか出来ないこと、どんどん始めていきます😊

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次の動画かブログでお会いしましょう。
では、また!