芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

10月の芝生の手入れ 芝丈・害虫・病害・施肥 芝生愛好家のための旬な話題

10月の手入れで来春の芽出しの質が決まる

高麗芝などの暖地型芝の10月は、来春の芝の「萌芽」(芽出し)のための大切な仕込み期。

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画像は東京丸の内駅前広場のティフトン

今年の芝は終わった」と考えるか「来年の芝が始まった」と考えるかで、来年3月初旬の「萌芽」(芽出し)に違いがでてきます。

その理由は、来春、芝が冬の休眠から目覚めて新しい芽を出し、葉が出そろって芝が通常の生理的サイクルを回転させるまでの間は、実は活動に必要な養分もエネルギー源も「外部からの調達」ができず、休眠前に根の貯蔵器官に蓄えたものを「消費」しながら葉をつくるからです。

(消費エネルギー  生産エネルギー)

この現象は、春の新しい葉が成熟して、葉をつくるために使う消費よりも葉が光合成でつくるエネルギー源のほうが多くなるまで続きます。

(消費エネルギー  生産エネルギー)

我が家の芝生、関東南部の高麗芝の実例では、2月末~3月初旬に萌芽してから葉が出そろう3月下旬までの時期。この時に必要な養分・エネルギーは「今」備蓄させます。


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芝丈は長く!いかに芝生全体で光合成の表面積を大きくするか

真夏までの芝とは大きく異なり、この季節の暖地型芝は、極端に新陳代謝(古い細胞を排除して新しい細胞を生産する活動)を落としています。

芝の葉の伸びが遅くなったのは、「今、育つこと」より「来春のために備蓄すること」を優先する生理活動に入っている証。

もう、芝刈りをしても葉の数が増えて密度が濃くなることはありません。

光合成(エネルギーを新たに生成する活動)の効率を上げるためには、芝の葉1本1本の表面積(日照を受ける面積)を大きくしてあげることが有効です。

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我が家の芝刈り道具たち

また、TM9などの選抜種でない限り、芝の葉の伸びにはかなりの個体差があります。

高麗芝の例では、20cmちかくまで伸びる性質の個体とTM9のようにせいぜい3~5cm程度にしか伸びない性質個体など、さまざまな「個性」が入り混じっています。

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芝の性質は個体差が大きい すごく伸びる葉 あまり伸びない葉が混じっている

特別に長く伸びる個体を、伸びが遅い個体に合わせて刈り揃えてあげることで、芝丈が短い個体にも良好に陽があたるようになります。(微々たる差ですけど。)

つまり、特にこだわらない人でしたら、芝刈りをやめてボーボーにしとけば良いってことです。

長くした芝丈はやがて冬枯れし、外気温がマイナスになる日などの急激な地表変化を多少、緩慢にして休眠中の根(芝の命のご本尊)を護ってくれます。

病害との闘いはあと少し! 10℃を下回ると菌の活性は止まる

秋の病害で恐ろしい、カーブラリアやリゾクトニア性病害(春はげ症の原因菌)などが、芝に旺盛に攻め込んでくる発育適温は25℃~28℃くらい。

かかる人は既にかかって深刻なダメージを受けているでしょうし、ここまで無事逃げきれた人は、ぐっと感染のリスクは下がります。

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10月に最も元気な病原菌は、発育適温17℃~22℃のさび病くらいです。かかっても芝が根ごと枯れることは殆どなく、生きた葉がやられるだけ。

9月に予防殺菌できている人は、もう、何もしなくても大丈夫。

殺菌していない人は、10月初旬の2週間だけは「さび病注意報」といったところでしょう。

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病害は目に見えないから、不安になったり精神的に追い込まれたりする人もいるみたいですけど、最悪でも「春に張り替えればいいや」って考えれば、何一つ心配はいらない・・・と思います。

せっかく楽しみでやっている「趣味の芝生」なんだから、気持ちを楽に一年中楽しんじゃったほうがイイんじゃないかな?と思います。

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害虫は、いるのが普通

スジキリヨトウなどの三令幼虫は、なんと寒い冬を幼虫のまま越冬します。今年いっぱい繁殖した芝では、春にサッチとりやるとゴロゴロでてきます。

害虫は「いること」が問題なのじゃなくて、「芝生の美観を損ねるくらい食われる」ことが問題なんですねー。多少いても大丈夫。

「数を減らす」ためには、繁殖サイクルをイメージするとイイと思います。

成虫が卵を産む ・・・これがすべての源泉

  ↓

幼虫が育つ ・・・この過程で芝をたべる(害が発生する)

  ↓

成虫になる

  ↓

卵を産む

 

サスティナブルな対策としては、

成虫が来にくくする

幼虫がたべてもダメージが少ない強い根にする

 

我が家みたいな狭い家庭の芝生の場合、この2点だけで十分です。

 

成虫が来ないようにする対策は「光」。家の窓の光を漏らさないようにしてます。

強い根づくりは、アルムグリーン(漢方の農薬)です。

どうやら、アルムグリーンの正露丸みたいな匂いは、虫がちょっとイヤがるみたいですね。(※アルムグリーンの農薬登録は「根の伸長促進」なので害虫の忌避剤ではありません。あくまで副次的効果の話。)

結果として成虫があまり来なくなるので、1年、2年と時間が経つにつれ、幼虫の個体数が減っていきます。

使用3年目からは、年に数匹しか幼虫を見なくなりました。


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僕はじじいだから、ながーい時間の変化を楽しめる(一年が、若い頃の1か月くらいに感じる)んですけど、すぐに結果が欲しい人だと、待てないでしょうねー。

それが、「漢方」の難しいところ。

ちゃんと使っていない(途中でやめちゃう人)の情報が多すぎて、事実がなかなか伝わりません。これが僕の悩み。こんなにイイのに残念です(^^;)

漢方薬を服用したことがある人ならわかる

余談ですけど・・・w

自分で漢方薬を服用したことがある人なら、どういう時間軸で、そして、どんな風に「漢方薬」が効くのか、体感できるんですけどね(^^;)

自分の身体を使って実験するなら、これがオススメです(太ってる人限定)

はじめのひと箱は、はっきり言って「ぜんぜん効きません」(こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが事実です)

たぶん、2箱目を飲み始めた頃、「やめちゃおうかな?」と思います。ぜんぜん効果が実感できないから。しかし・・・毎日、毎日、一日3回、ダマされたと思って飲み続けると、3箱目くらいから体質が変わってくるのに気づきます。

若いころみたいに身体が活性化してくるんです。カロリー消費活動が始まる。

ひとたび効き始めると猛烈に効きます。痩せるための薬なのに、なぜか肌の艶が良くなって若返ったようになります。(新陳代謝の活性化による副次的効果(たぶん))

 

普通の人なら、途中でやめて「ナイシトール」とか、そういうほうにいっちゃいますよね。ああいうのは、まず最初に効いている「感」(メラメラ燃えるような熱い感じ)があるので如何にも効きそう・・・に思ってしまう。

漢方は長い時間、ちゃんと結果が出るまで待てるか?が肝

本当のチカラを手にいれるには、時間がかかる。だって生理サイクルですから、最終的には身体の細胞にはたらきかけないとね。

手っ取り早い対処は、効果も短い・・・ 信じるか信じないかはあなた次第

自分で漢方を体感する方法はある!

余談、おわりますw

 

秋の肥料はしっかり撒きます

年間の肥料管理こそ、オーナーの方針によってぜんぜん違います。

一年中、どの季節も「撒く派」「撒かない派」に分かれ、コミュニケーション(本質の意思疎通)が難しいものの一つだと思います。

だって、土壌は化学ですから(^^) 実はその庭の土の性質ごとにぜんぶ違う

その季節の芝の体内のエネルギー配分によっても、作用の仕方が違う

だから、オーナーの「方針(何を重視するか)」で、肥料の選び方・散布・量・時期がひとり一人違うのが当たり前だと僕は考えます。

我が家の芝生づくりは、住宅密集地での実践なので、南側の家の日陰が芝生にかかって、年間を通じて「日照が少ない」という条件下での攻略です。

だから、最も大切にしていることは「春の萌芽重視!」

春、いかに早く、芝の葉を緑に整えて「自律回転が始まる時期」を早められるかが、その年の真夏のピークまでの生育期間の長さに影響する。

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春の芝生の萌芽 毎年2月末か3月に始まります

とくに、日照がもっとも強くなる(我が家でも日陰がほとんどない)6月を挟んだ3か月が重要になるんです。

・・・つまり、GWまでに如何に芝生を緑で埋め尽くせるか。(3月~4月が重要)


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その実現のために、まず、大きなキャパシティーを持った「根」が必要なので、真夏は過剰に葉を育てず、根の充実にエネルギー(光合成で生成した炭水化物)を回すために、施肥は控えめ。

そして、この秋、しっかり育てた根の貯蔵器官に、フル充電で養分・エネルギーを蓄えてもらうために、しっかり施肥をします。

 

施肥をしても、芝の根がちゃんと活動しないと、肥料を吸収・貯蔵してくれません。

そのために、芝の葉を大きくして光合成効率を上げ、たくさんのエネルギー源をつくって、根にしっかり呼吸してもらってエネルギーを活用しながら、貯蔵活動をしてもらう

・・・というのが、10月の芝生の管理。

これがすべてです(^^)

 

だから、9月・10月は量に注意しながら、小分けにしてしっかりと肥料を撒きます。

この時期は、遅効性の出光イデコンポガーデンEV(我が家のメイン肥料)ではなく、バロネス芝生の肥料(化成肥料でありながら緩効性)を使います

秋の施肥は短期勝負。必要なだけ与えて、できることなら食べこぼしなく芝が吸収してくれたほうが、冬雑草のエサにならないので理想です。

また、イデコンポガーデンEV に含まれる「バチルス菌」の活動も、気温10℃を下回ると休眠の方向にいってしまうので、この季節に使うのはもったいないなぁーと思うから。

ここは、化成肥料が扱いやすいですね。

詳しくは動画をご覧ください


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今年は、最後の最後、11月初旬に、初めて「晩秋施肥」というのをやってみます。

日本芝草学会の先生に、「地表の葉がほぼ止まっているけど、根はマダ活動している」そのタイミングで窒素を投入すると、春の芽出しにイイコトあるよ!・・・と教えていただいたからです。

 

昨年までは、雑草のエサになるからと、早秋の施肥しかしていませんでした。

冬雑草との闘いを覚悟して、春の萌芽を加勢します(^^)

どーなるかは、来春のお楽しみ。

日本芝草学会への入会のススメ(一般の芝生愛好家も入会できます)

この長いブログを、ここまでお読みになった方は、相当な勉強熱心。

「芝生の育て方について学びを得たい!」という人だと思います。

日本芝草学会は、日本最高峰の「学術研究・研鑽の場」でありながら、芝のことを学びたい人ならどなたでも入会できる「開かれた学会」です。

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学会に入ると、さまざまなシーン(ゴルフ場・公園緑化・学校校庭緑化・日本・海外・・・)での実践に基づく知見や、最新事情に直接触れることができる他、研究論文を閲覧できたり、学会の活動(各部会)の人たちとリアルで交流するきっかけになったり・・・、他のどの手段(ネット・書籍・口コミ)よりも信頼できる一次情報が手にはいります。

芝生って、自分の庭だけ管理して、ちょっと本読んで勉強していると「わかった気」になって、あたかも自分自身がすべてを理解しているかのような錯覚に陥りがちなんです。(僕の場合ねw)

しかし、学会の中を覗くと「無知の知」。知れば知るほど知らない世界が広がっていく。自分はそのほんの僅かな部分しか知らなかったんだなぁーってことに気づきます。

そして、ますます、芝生のことが知りたくなって、学ぶことがとても楽しくなります。

興味がある方は、この入会案内をご覧ください。僕は強くオススメします。

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いきなり入会には抵抗がある人には、今がビッグチャンス!

日本芝草学会の秋季大会が、来る10月23日(土)24日(日)にオンラインで開催されます。家庭に居ながら、学術研究の発表の場に参加できるチャンスですので、この機会に参加してみてはいかがでしょうか?

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このページの左にある「参加申込」から申し込めます。

jsts2021.net

今回は、初の試みとして初日開会前には、「オンライン見学会」として各地の芝生現場とリアルタイムで結んで配信するみたいです。

僕は楽しみでなりません!(^^)

 

芝生についての「本当のこと」を学ぶ方法

以前、ブログにまとめています。

僕がオススメするのは、専門の先生が書いた「本を読む」ことと、

リアルに「識者から直接情報を取得する」ことです。

興味ある方は、ぜひ、こちらのブログもご覧ください。

tokyo40mile.hatenablog.com

 

僕のメインの活動はYouTube 東京40まいる 芝生ガーデニングでの情報発信です。ぜひ、チャンネル登録をお願いします。

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次のブログ、動画、SNSでお会いしましょう。

では、また!