芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

青木茂さんが管理するピッチ 長野Uスタジアムに来ました AC長野パルセイロのホームスタジアム

長野Uスタジアムの特徴は、設計段階からピッチ管理者青木茂さんの芝生育成理論が尊重され、自然体をベースに芝を健康に育てる水・光・空気の動きの仕掛けがある施設です。

「芝生」は人がつくる究極の不自然。芝生には必ず「人」が関わり、人と土と植物のドラマがあります

青木茂さんと話し始めてすぐ「この人、芝への愛情がものすごく深い人だなぁー」とわかりました。キラキラとその心(ハート)が伝わってくる。
青木さんと僕は偶然にも同い年。僕が社会に出てから芝生とまったく関係ない仕事をしてきた30余年の時間のすべてを、芝生管理の探求に専念してきた生粋の「芝生のプロ中のプロ!」です。

「芝生の探求」がKEYとなって、YouTubeから始まった人のご縁の連鎖で、まったく違う生き方をしてきた二人がこーして出会う😊
人生はキセキの連続。出逢いは宝。期待に満ちています。

青木さんのピッチ管理の中心にあるのは、如何に「芝を健康に強く育てるか」


芝の命を支えるドクターであり芝を鍛えるトレーナーです。こういう人にめぐり会うと僕はワクワクして元気になります😃

ブルーグラス単一種のみで通年常緑管理をしている珍しいスタジアム

Jリーグスタジアムは「常緑」が要件なのですがこれを実現するために、暖地型にオーバーシードか、一年中寒地型芝(混播など)かのいずれかが主流のようです。

寒地型西洋芝のブルーグラスだけで常緑を維持管理しているスタジアムは極めて希。

関東ではあまり見ることがないこの芝は、北海道の芝生ではメジャーな芝種。夏の暑さが苦手です。教科書的には真夏の月あたり平均気温が24℃を超えると生育が難しいといわれます。(※ 品種により多少差異あり)

年々、真夏の酷暑が厳しくなる中、長野でこのブルーグラスのピッチを維持していくには、高度な管理技術はもちろん、命を操る経験値、研ぎ澄まされた直観みたいなものがないと維持は難しそうです。

青木さんに、「ブルーグラスを選んだのはナゼ?」と尋ねると・・・

即答で「ハマったときのブルーグラスが最も綺麗だから」と云う。「一番美しい緑のピッチにしたい」。それがブルーグラスを選んだ理由だそうです。
バミューダ×ライグラスでエバーグリーンは作れる。
でもグラウンズマンの心は「最高に美しいピッチ」なんです。
長野パルセイロ選手の皆さん、サポーターのみなさんは、この美しいピッチを見る機会が多くて幸せですね。

ご覧のとおり、ブルーグラスの深く濃い青緑はとてもとても美しい。取材に行ったのは11月13日。酷暑の夏疲れで秋口にヘトヘトになった芝が、ようやく元気を回復してきたところ。それでもこの美しさ。

長野のブルーグラスが年間で最も美しい季節は6月

最盛期の美しさたるや眩しすぎて直視できないくらいの輝きだそうです。ぜひ、そのピークの緑を見てみたい!!・・・ということで来年6月にも再び訪問させていただくことにしました。

東京40まいるの撮影風景もレア画像ですw 青木さんが「千曲川リバーフロント」で撮ってくれました。僕はいつもこんな感じで芝生撮ってます。はいw 撮ってくれてありがと!

芝を健康に育てて強くする管理

スタジアムはそれぞれに環境が違い、興行の事情(利用目的・頻度)も違うので、スタジアムの数だけ異なる管理方針・採用する手法があります。
青木さんの長野Uスタのピッチづくりは、「芝を健康にして強く育てる」ということが、中心に据えられています。
芝の体力の源は、なんと言っても光合成で作る糖。

芝が保持している糖の総量には常に気配りし、弱りそうな時には上手に糖の補給をしてエネルギー源を補うなど、キメ細かに世話をしているそうです。


水を与える時は、一気に!これも土壌空気の総入れ替えと、芝の根を鍛えるコントロール

管理技術的側面については次のブログでお話しします。
太陽の光・水・空気、そして刃物。すべては芝を強く健康に育てるため。感動の連続でした。お楽しみに。

青木茂さんといえば、新品種バミューダグラス タホマ31

今、大注目を集めているタホマ31。ティフトン419が開発されて以来60年ぶりのゲームチェンジャー出現と云われ、回復力の強さ、ターフの地密度、冬の寒さに強いバミューダグラスです。

青木さんは、東北地域を中心に全国各地のグラウンドへのタホマ31の導入・管理・アドバイザーを多数手がけられています。10月の芝草学会の秋田芝生地見学で訪問した、Jリーグ ブラウブリッツ秋田の練習グラウンドのタホマ31(施工管理・むつみ造園土木さん)も、青木さんがアドバイザーでした。

すべては長野Uスタのピッチの品質のため

年々気候の変化(気温上昇)を感じる近年、やはりこの長野におけるブルーグラスの夏越えとその後の秋疲れの傾向は常に気にかけているそうです。
青木さんは、このお仕事に就いてから何十年もの間、ずーっと芝生の勉強し続けています。「いい芝生にしよう!」という思いで、全国に出向き、知見を磨きつづけて今がある。

そんな青木さんが、チカラを入れているタホマ31もまた、年々、気温の上昇傾向が続く長野でのベストな芝種選び。タホマ31の実地での育ち方・育て方、特性を知り尽くしながら、長野への導入を念頭に据えて、知見・実践・技術を磨いているそうです。

東北でもオーバーシードなしで、ターフの維持ができる。長野の気候なら「常緑」が実現できる可能性が高い。そんな期待いっぱいの、次世代芝種 タホマ31。
長野に来て一緒に過ごして、青木さんの思いを深層理解しました。
日本の第一人者だって、常に勉強。ジーンときましたねー僕は🥺

夢をたくさんいただいた!!青木さんありがとう!

芝生は一年に1回しか経験を積めないから、毎年、結果まで見届けてそこから知見を得る

青木さんの口から出た言葉です。これを想う人、超共感です😍
お互い50代。一年一年、一時一時を大切に過ごさなきゃ😊
そんな思いで溢れながらこのブログを書いてます。

次のブログでは、いよいよ長野Uスタジアムの設備をお伝えします。「健康で強い芝に育てる」ための工夫が満載。
家庭園芸芝生でもとても参考になることばかりです。
お楽しみに。

Youtube動画でも公開していきます


メンバーシップの皆さんには、すでに未編集版の青木さんの芝生管理談義の模様(20分超)を公開しています。
[https://youtube.com/@turfgrass?si=iLkZ0Xsn3rW345Hc:title=芝生の雑学 東京40まいる]
チャンネル登録者さん向け一般公開動画は、来週以降、編集に着手予定です。チャンネル登録マダの方は、ぜひ!チャンネル登録をお願いします!

次の動画か、ブログでお会いしましょう!
では、また!