芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

芝生の床土づくり 微生物と芝の根の共生に必要な環境

芝生の下にある床土って、本来は何をするところ?

芝が、光合成でつくった根酸を土の中に放出して、微生物たちを養い、微生物たちの活動の結果、芝が生きていくために必要な、さまざまな必須要素をイオン化して水と共に芝の根に取り込ませてくれる。そういう場所です。

耕種管理ってその促進のためにやるんですよねー😊

そうイメージすると、土の中に「入れてイイもの」と「入れちゃイケナイもの」の区別がついてくるようにも思えます。

芝本来の力を生かして、芝を強く育てる

Jリーグ長野パルセイロ 長野Uスタジアム  ヘッドグラウンドキーパーの青木茂さんは、日本のスタジアムで唯一、或いは世界で唯一かもしれない、寒地型のケンタッキーブルーグラス1種のみで、Jリーグホームピッチの条件である「常緑(一年中緑の生きた芝生)」を維持してるスゴイ人です。

今や温暖化が進み長野と云えど灼熱の夏。夜温が下がらない日も多くなっているそうです。東北ならまだしもその長野市で、寒地型の夏越しを「サッカー試合を止めずに」維持・回復し続けているんだから、芝のコトわかる人ほどこの偉業がわかるはず。芝の命の力を知り尽くして操る、芝生のドクターです。

それでも、夏を越してブルーグラスが満身創痍になる頃、ピッチが荒れることもあるそうです。でも、命はつなぎ続け、回復させ続ける。これが芝の植物生理学を知り尽くしたプロの仕事です。

その生育の考え方は、まさに芝生づくりのキホン。「光・水・空気」

この動画で青木茂さんが、芝生づくりのキホンと、それを実現するために工夫されたスタジアム設計について語ってくれています。芝の生育に役立つお話ばかりですので、まだご覧になってない方は、ぜひ、この動画を見てください。


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この時、とても大切なお話を聞いてきました 微生物の棲み処づくりの話

プレーの踏圧に耐える床土を考えると「砂」なのだけど、全部砂だけだと微生物の棲み処が足りない。菌たちが拮抗(互いに牽制)してないから、その時の条件によって特定の病原体が偏って増えて、極端な症状が出やすい。

微生物の多様性を実現するためには、いろんな菌がバランスよく生きて拮抗するための「棲み処」を用意してあげる必要がある ・・・ と。

「それは何?」と聞いたら、ヤシガラ活性炭だという。「もみ殻燻炭ではだめなの?」と尋ねたら、一時的にはイイかもしれないけど、そう長くないうちに崩れて目詰まりを起こす。

ヤシガラ活性炭は、硬度が高いうえ多孔質。床土に使用しても崩れにくく孔隙を維持しながら微生物の棲み処を提供してくれるそうです。

このエピソードは、「思いをかたちに」青木茂さんのご講演の中でも仰っています。


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さらに、活性炭は酸素の供給もしてくれます。透水性が悪い我が家の床土においては、きっと良い働きをしてくれるに違いない!

しかし、ヤシガラ活性炭探し・・・なかなかナイぞ!

青木さんがイイというなら、きっと間違いない!以前から、植物生理学会や、芝草学会、土壌医の会の勉強会で、「炭」が微生物の棲み処になる話は何度も聞いて知っていました。

こーなると期待しかありません。しかし・・・ホームセンターで探してもヤシガラ活性炭なんて見つからないし、ネットで探すと、無茶苦茶高い!そして「炭」は基本的に土壌をアルカリ寄り(pHを上げる)方向に働くので闇雲に使うと少々面倒な調整が必要になるかも😅

探しに探して、やっと辿りついたのがゴルフ場用の土壌改良剤です

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キングコール ハイプロベスト。pHも調整済みで、なんら心配がナイ😊 一般向けの小分け販売は行っていないそうですが、メーカーさんに直接頼み込んで僕のYouTubeとブログをご覧いただいて本気度をご説明したら、なんと特別に協力して売ってくれました😊

とてもとても感謝です!

真剣に勉強しててよかった😊 

後日、お会いすることになりましたので、いずれ続報をお伝えできると思います。「芝生」を通じて熱い人と人の輪がどんど繋がっていく。また新しい出会いが始まります。芝生と土って不思議です😊ホントに。

この資材を床土に使って、今後2年間くらい経過を観察したいと思います。

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一緒に経過を見守ってくれる方は、ぜひ、チャンネル登録をお願いします!

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芝の育て方は人それぞれ。気をつけるコトは「情報の鵜呑み」

今回ご紹介した「微生物の活用」とは逆に、無機質に化学物質と薬剤で管理しつづけることもできてしまう。だから芝生管理を一概に語るのは難しい。

ネットに転がってる「芝生管理のウワサ」って、こういうことから誤解の連鎖が生まれるんだろな と分析しています。

「プロがやってるから」 という理由は危険なニオイ。 プロがやってる「その理由」を理解しないと結構、間違った道に行きやすい。なぜなら、プロが管理する環境条件と「 家庭園芸」は、土や土の中の構造をはじめ、さまざまな前提が違うからです。「前提条件のすっ飛ばし」 で方法論だけを語るのはキケン⚠️ってことです😅

芝生管理の方法は、一概に、正解✅ 不正解❌と言えないんですね。

芝生の「管理目的」と「実現したいこと」によって、最適な選択肢は変わる。どの道を選んでも、大切なのは管理手法の選択の「 一貫性」です

僕は思うんです。家庭園芸芝生こそ「自然のチカラ」を引き出したほーが楽なんじゃん?って

かつてホラーだった我が家の芝生。

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微生物バランス管理で、土の団粒化が進んだ現在、滅多に病害でやられるようなことがなくなりました。とても穏やかで、しっかり自然の健康な美しさを感じます。

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大切にしてきたことは、土の中の水と空気。そして化学合成物(化学肥料・化学薬剤)は必要最小限に。ただし、芝刈りして芝を危機に陥れる以上、これら「 無」はあまりにも困難でハードルが高い。上手に活かす。

そして、化学性物質を過度に土に入れると「 土の秩序(微生物と植物の共生)を乱す」っていう、アタリマエの自覚をもって使う(操る) ことは大切だと思います。

芝生づくりは土の微生物育て

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こういう楽な育て方もアルヨ!という一例として、僕の動画配信やブログをご参考にお役立ていただけたら幸いです😊 芝生にまつわる植物生理学は面白い!

次の動画かブログ、ライブ配信でお会いしましょう。

では、また!

 

2級芝草管理技術者 ゴールドグリーンアドバイザー

土づくりアドバイザー

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