春のスズメノカタビラの効果的な防除についてお話します
芝生に生えてくる「最も厄介な雑草」の一つであるスズメノカタビラ。実は、寒地型の芝草ブルーグラスの一種です。通常、日本の夏の暑さでは生きていけず、夏入り前にタネを残して枯れていく1年生植物です。
生育可能な温度は5℃以上。これを下回ると休眠状態となり、成長を止めてじーっと好適温度になるのを待ちます。寒地型芝草なので、もっとも生育が旺盛になる温度は、15℃~24℃です。
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スズメノカタビラの一部は秋に出芽して根を下ろし、春に盛んに成長する
春に猛威を振るうスズメノカタビラのタネは、温度が下がってくる「秋」に出芽して地面に根を下ろし、真冬の寒さの間はあまり成長せずにジーッと地ギワで待機してます。出芽したばかりの個体はあまりにも小さく、目視で見つけるのは困難です。
春になって温度が上がってくると、この待機していた個体が旺盛に成長し、盛んに穂をつくってタネをそこら中にばらまきます。これの繰り返しで芝生を浸食します。(タネは一年中様々な時期に出芽するものの、春に厄介な個体はこのプロセスのようです。※ 末尾動画参照)
あまり手入れしていない公園等の芝生は、たいてい年月を経てスズメノカタビラに占領されていきます。とても賢い機能と、優れた繁殖力を持った雑草です。
芝生初心者は、春の芝の萌芽と勘違いする
この映像をみて、あなたは見分けることができるでしょうか?
スズメノカタビラも「芝草」(芝の一種)なので、初心者の方はナカナカ見分けられないこともあります。
https://youtube.com/shorts/xgFQOYRtj3A?si=KBuSRj0SHDqbTLR9
春に猛威を振るうスズメノカタビラを最も効果的に防除できるのは、晩秋~初冬
選択制の除草剤といえど、適応する芝にまったく「無害」というワケではありません。多くの芝生用除草剤が、真夏に使用できないのは薬害(芝生が衰退したり枯れたりする)を回避するためです。
除草剤散布に最も適した時期(安全に効果を発揮できる条件)
簡単です。保護すべき芝生の感受性が弱く、駆除すべき雑草が活動している時を狙います。
高麗芝などの暖地型芝は、温度10℃前後まで下がると、ほとんど代謝は止まっています。
一方、スズメノカタビラなどの寒地型芝は、温度5℃までは活動している。
と、いうわけで、高麗芝への薬害リスクが低く、スズメノカタビラに卓効の、除草剤、トリビュートODを散布しました。通常の年であれば、11月にその季節はやってくるんだけど、今年は、約1か月遅いです。
そりゃそーだ。春に咲く乙女椿が、今、つぼみつけちゃってるんだから。
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オイル入りで、草にまとわりつきますので、展着剤は不要です。
さまざまな雑草に効きますが、特に、「スズメノカタビラ」に卓越した効果を発揮します。
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散布後、スズメノカタビラが冬から春の間どーなっていくのか?面白いヨ!
去年の実例はこの記事をご覧ください。成長しながら枯れていきます。こんなに居たんだ?と気づきます。
薬剤のプロが解説するゴルフ場コース管理者向けのセミナー
この分野の専門家、Envu三好さんのセミナー「スズメノカタビラの生態について」が一般公開されていますので、ぜひ!ご覧ください。9月から3月まで、毎月スズメノカタビラを播種して、春のスズメノカタビラの状態を検証しています。
春先に穂をつける(大きく育つ)個体の多くは、秋に出芽して冬を越した個体である・・・という大変興味深い内容です。
また、梅雨時に出芽したスズメノカタビラの多くは、夏に暑さ・乾燥・炭疽病で枯れてしまうという話や、秋に出芽する個体の検証など興味深い試験結果満載です。(※ 検証内容は、2022年現在のものです。)
近年は、薬剤抵抗性のスズメノカタビラも問題になっていますので、このチャンネルの最新の情報で知識をアップデートしておくことが役立ちます。
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2級芝草管理技術者 プラチナグリーンアドバイザー
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