芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学を1級芝草管理技術者が解説

8月の芝生の手入れ 秋のために今からやるべきこと

8月の家庭芝生管理で留意すること(高麗芝など暖地型芝の場合)

この投稿で解説すること。

〇 根を傷つけない・・・全力で代謝しているから

〇 水やりはしっかり土に浸透させて間隔を長くとる・・・水と空気の両立

〇 過剰成長させない・・・根の温存、軟弱化の抑制

〇 芝丈は、伸びが遅い葉に注目・・・冬枯れの芝の高さを均一にする

高麗芝などの暖地型芝はピークを迎え一年で最も美しくなる季節ですが、過剰に成長させないように注意が必要です。

暖地型芝の高麗芝の真夏の状態

一方、ケンタッキーブルーグラスをはじめとする寒地型芝は、生育適温の上限を大きく超え、衰退しながら体力勝負の夏越しの時期となります。

寒地型のケンタッキーブルーグラスの真夏の状態

この記事では、主に高麗芝などの暖地型芝を題材にお話します。

真夏は多量消費・過剰成長の季節

真夏の芝生管理で意識しなければならない重要なことは、芝の代謝は全力で「消費」活動を行っており、余力がありません。春から梅雨入りまで適期だった芝の根を切る作業は真夏の間は避けましょう。芝の生体づくりはこの夏越しのためにやってきたのです。

さて、この期間、貯蔵する余裕がないばかりか、貯蔵を使い込んでまで成長してしまう状態です。その前提で考えれば芝生の手入れの注意点が見えてきます。これまで以上に芝生生育のキホン中のキホン「光・水・空気」がある状態を人間が上手にコントロールしてあげる必要があります。

水は地下深くまでしっかり落とし込み、間隔をあける(水と空気の両立)

どれだけ水を撒いたらいいのか?最適な水やりの頻度と散水時間は、床土の性質によって異なります。だからあなたの庭の床土での最適を見つけなければいけません。

意識すべき大切なことは「床土をどの状態に維持すればイイのか?」をよく理解しておくことです。これを実現するために必要な撒き方、水やりの間隔を考え、実践することです。水は多すぎても少なすぎてもいけません。

真夏に考えることは、①水を地下深くまで落とし込むこと、②地表部は乾いた状態をつくることです。詳しくは前回、7月の芝生の手入れで解説しているのでそちらをご覧ください。

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動画で確認したい方はこちら


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床土深くに水を浸透させられるなら道具は何を使っても同じ

水やりで大切なことは、必要な水を土の中の必要な位置に必要なだけ配置してあげること。だからどんな道具を使っても、水の配置と量さえ正しくコントロールできれば結果は同じです。

散水道具としては、タカギプログリップガーデンは、価格と機能のバランスがとても良いと思います。機能としてはこれがあれば充分。僕も長年愛用していました。

あとは趣向によります。反復継続することなので、できることなら機能や品質が高度な製品だったり、水の動きが楽しい・気持ちイイほうが続けやすい。

そうなんです。家庭園芸で大切な要素の一つとして「道具を使っているその時が楽しい」ことが意外と重要だったりします。「作業」が「愉しみ」に変わる。実は楽しめることって大切で、ながく持続的に続ける原動力となります。はっきり言って「贅沢品」ではあります。


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人間にはできない撒き方を代行してくれるのがスプリンクラー

理想は理解したけど、実現にはたくさんの時間と根気が必要になります。なぜなら、土は思っているほど、水を地下方向に吸収してくれません。土の粒を伝って、少しずつ少しずつ重力に引かれて落ちていくのを待つ必要があるんです。

手散水の場合、本人は充分に撒いたつもりでも、土の中はこんな風になりがち。

天然の雨では起こり難い、人間の「手散水」によって生まれる特殊な状態です。

これを理想的な水の配置にするためには、相当に長い時間、少しずつ上から水滴を落とし続ける必要があります。(つまり、雨の状態と同じにする。)
長時間じっくりの水やりには、スプリンクラーが便利です。

スプリンクラーは、意外と安価で手に入れることができます。撒きムラを考慮して、適当に移動させながら使いましょう。朝起きて、身支度している間中、水やりを代行してくれるので、理想的な散水が完了します。

広いお庭の場合は、一度に全面やろうとせずに、区分を分けて毎朝ローテーションで位置替えして組めば、比較的簡単にカバーできますよね。ご自身のお庭とご自身のご意向にあった「楽で持続的な」方法を見つけてください。

長方形のお庭には、GARDENA アクアズームが便利です。これが僕の一押しです。

理想的な水やりで、土の中の水と空気の適切配置を実現しましょう。

水やりは「こうでなければイケナイ」ってことではない

相反することを言いますが、上記のとおりでなければ「イケナイ」ってことはありません。水やりのキホンを理解して、「芝にイイこと」「良くないこと」をわきまえ生活のさまざまな条件の中でご自身に合った方法で使い分けていくことです。

【知っておくべき基本】

1.水やりの理想は、早朝、たっぷり長時間散水し、間隔を長くあける

 芝の生体を強くする、最も効果的な方法です。(土の中の水と空気環境の理想)

美しく強い芝生を目指す方の究極管理

2.芝の根は、さーっと表層に水を撒くだけでも効率よく水を吸収できる

 芝の生命活動を維持するために、水の枯渇を防ぐ効果的な方法です。しかし、いつも続けていると根上がりの原因となります。水がいつも浅いところにあるため。

芝のイノチをつなぐためのサっと散水

3.天然の雨だけでも芝はナカナカ枯れない

 一旦、枯れたようになってもそれは休眠であることが多く、回復に時間がかかりますが、充分な雨が降れば、芝生地は維持できることのほうが多いと思います。むしろ最も過酷な環境で芝は生き抜きますので本能的な生存力は最大に。しかし究極の美しさを目指すならこの方法ではダメ。

東京40まいる秘密基地の芝生は、天然の降雨だけで芝生を維持

1.から3.のやり方の中で、ご自身が「目指す芝の状態」にあわせて、管理の仕方を考えれば良いのです。ネット上の「過度なウワサ」に惑わされず、本質を理解して自分で考えられる人が増えたらイイナと思います。

過剰な肥料が芝の将来を衰退させる?

家庭園芸でヤラカシがちなのが肥料の与えすぎ。この季節は肥料を与えれば与えるほど、芝刈りの都度モリモリと刈カスが出て葉色も良く「一見、ものすごく調子が良い」気がしてしまいます。これが落とし穴なんです。過剰に成長させてしまうと、芝は葉をつくることに資源を全力注入してしまいます。

これにより、未来をつくるために必要な資源が根に行きわたらないばかりか、貯蔵まで消費し、根を衰退させてしまいます。この影響は秋からの貯蔵のキャパシティーに影響し、来春の萌芽を鈍化させる方向に働きます。芝の生理代謝は、常に、過去から現在、そして未来へと因果が連続しているのです。

( ↑ YouTube芝生管理ナビ5月より)


また、必須17要素は芝の体内での移動スピードが異なります。あまりに早い成長を促してしまうと、要素の欠乏により様々な悪影響が出てしまうことがあります。(特に移動が遅いカルシウム欠乏による軟弱化など)。まだ、土に過剰に肥料資材を投入することでpHを乱し、微量要素などの吸収効率が悪くなることもあります。

よく理解していないと「葉色が悪いから、また、肥料を与える」・・・という悪循環に陥りがちです。

葉色を美しくしたければ微量要素肥料という選択

ここ一発の記念撮影や、来客の予定などで「芝の色を美しくしたい」ときには、窒素肥料をぶっ込むのではなく、微量要素肥料を噴霧器で葉面散布をすれば1週間後くらいに美しい葉色をつくることが簡単にできます。あまりオススメしませんが、窒素過剰にするよりはコノほうがマシです。

しかし、微量要素肥料・資材は依存しすぎないことが大切。本当に「ここ一発」の時だけです。常用はしないでください。必要充分な量は基本的に土の中にありますから。

これは、一時的なショートカットです。

土の床土では、そもそも真夏は地力窒素が発現しやすい

これは、ある年の我が家の芝生床土の窒素発現量予測を専門分析機関に出した結果です。土に含まれる有機質から自然発生する「地力窒素」は、土の中の微生物の活性の影響を大きく受けます。一般的に地温30℃付近から急速に発現量が上昇すると云われています。

この分析結果からおわかりいただけるように、真夏は如何にして「窒素を抑えるか?」が重要なテーマとなります。

ただし、「砂の床土」で芝生をつくっている人は、真夏の間も必要な窒素量を供給しつづける宿命があるので誤解しないでくださいね。このケースは、有機物を多く含む「土」の場合です。詳しい解説はこちらをご覧ください。


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芝刈の刈込高はどのように管理するか?

セオリーに沿ってさえいれば、真夏の間は、お好みの長さでかまいません。

大切にすべきセオリーについては、こちらをご覧ください。攻めすぎず、緩めすぎないちょうどよい刈込高で頻度多く刈ることです。芝刈りの極意については過去に何度も解説していますが、手っ取り早くはこのショート(1分)をご覧ください。


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冬の芝生の面を揃えるには、実は、真夏の草高管理が肝だったりする

さて、ここで考えて欲しいのです。暖地型芝がどんどん伸びるのはこの真夏の季節までです。秋が始まると代謝は落ち、芝の伸びが急速に遅くなります。

我が家で生育している高麗芝の場合、これは様々な個性を持った個体の集合体。伸びるのがムチャクチャはやい個体もあれば、まるでTM9のようにそもそも大きく伸びない穏やかな個体も混ざっています。

旺盛に成長する真夏のうちに、「伸びが遅い個体」に注目して刈込高調整を始めると、芝の成長が鈍化したとき、芝の長さがビシっ!と揃った面を出すことができます。

逆に、真夏の間、ガンガン低く刈り続けてしまうと、伸びが遅い個体は、その後、目標の長さに到達することができず、秋以降、草高を引き上げたときに、長いものと短いままのものが混在することになります。

冬に着色した高麗芝 ベースの葉の長さが揃っていることが美観上重要です 2026年1月撮影

冬の芝の美しさに拘る人、冬場の着色にチャレンジしようとする人は、秋以降の目標刈込高を早めに決めて、伸びが遅い個体がその長さになれるように、真夏から刈込高をコントロールするのも、家庭園芸芝生ならではのテクニックです。

なお、冬季の芝生への着色方法については10月頃、YouTubeライブとブログにて詳しく解説する予定です。昨年の模様をご覧になりたい方は、こちらのショート動画をどうぞ


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美しく仕上げるための「芝丈の長さ」(伸びが遅い個体の長さの引き上げ)は、この8月から始めていきます。我が家の昨年の冬の芝生の模様は、こちらの動画をご覧ください(2026年1月撮影)。


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8月は害虫被害に注意

近年、さまざまな芝地での害虫被害が深刻化しています。家庭の芝生においてもその影響は強くでることを想定しなければいけません。

殺虫剤の適切な使用についても、前回の7月に詳しく解説していますので、ぜひ、適切な時期に適切な薬剤での防除をオススメします。

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アルムグリーンは保管環境に注意

真夏の間、気を付けたいのはアルムグリーンの保管場所です。芝の漢方農薬アルムグリーンの薬効は、生薬に含まれる天然酵母が発酵を促進することで生まれるIAA様物質(オーキシン様物質)が肝です。

出荷して手元に届いたあとも、アルムグリーンは生きて発酵熟成していきます。


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アルムグリーンの瓶を、屋外の直射日光の下や、異常な高温環境で保存すると、酵母菌が異常な動きをして瓶が膨張してしまう場合や、それを超えると酵母自体が死滅してしまう場合があります。アルムグリーンは「生きている」ことを理解して、真夏は特に、冷暗所での保管をオススメします。

万一、すでに直射日光下で放置しちゃったら?

簡単に確認できる方法があります。酵母が死滅すると、薬効を維持するための生命活動が止まり、単なる腐敗が進みます。

アルムグリーンの原液の香りが、「漢方っぽい薬」の香りがしている限りは、薬効が維持されていると考えて良いです。しかし、もし、腐ったような臭い匂いがするなら、そのアルムグリーンはもうダメです。あきらめて新しいものを調達しましょう。


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以上が、家庭園芸での8月の芝生の手入れで留意することのポイントでした。

わからないこと、疑問に思ったことなどは、該当のYouTube動画やインスタグラムの公開コメント欄にご質問いただければ、詳しく回答します。

個別のメール相談は、YouTubeメンバーシップの皆さん限定なので、ご遠慮ください。

 

僕が発信する様々なSNSメディアについては、家庭園芸普及協会のホームページからご確認ください。

www.kateiengei.or.jp

1級芝草管理技術者 プラチナグリーンアドバイザー 土づくりマスター 緑の安全管理士

芝生の雑学 東京40まいる 宮川昌広