芝生のエアレーション道具の中でも「コアリング」は様々な長さの道具があります。家庭用の6~8cmの短いタインは、労力負荷が軽い割に、実は、とても高い効果が期待できるんですヨ。芝の土の中の構造を理解して、効果をイメージしながら作業を楽しみましょう。

コアリングの重要な目的
水の動きで土中の空気を入れ替える
土の中の空気は、主に雨が降った時などの「水の冠水」によって地上に押し出され、土の中を満たした水が重力に引かれて落ちていく過程で、新しい空気が地表から地下へと引き込まれていきます。

生育旺盛な芝生の場合、芝密度が上がるとこの機能の働きが低下してくるので、経路を人為的につくってやる必要が生じるんです。それが「エアレーション」という作業です。
過密になった根を一部除去することで、新しい根が生えるスペースを作ってやる効果もあります。窮屈になった土を緩めてやるのがコアリングなのです。
「土」は保肥力と保水性に優れるが、水の動きが遅い

「砂」は、保肥力と保水性が劣る代わり、水の動き(バトン)が速い

土(砂)の粒と水の吸着力が強すぎず一定であるほど、重力のベクトルが一定に効いてスムーズに下へと落ちていきます。
コアリング+砂詰めは、「土」と「砂」のイイトコ取りができる
スポーツターフとは異なり、家庭園芸の場合は「管理のしやすさ」も重要な要素。
土の保肥力と保水性(管理の容易さ)を活かしつつ、速やかな水の動きをするルート(縦の砂柱)を地中に作り込むことで、空気の入れ替えも促進させることも両立させるのが、コアリングの最大のメリットです。

健康な芝ほど、地上と地下(垂直方向)の水の通りが悪くなる
この画像は、2年間放置して育ちたい放題繁殖させた鉢植えの姫高麗芝です。

よく育った「芝生」の構造はこうなっています。
https://youtube.com/shorts/2lIoEVmdcow?si=h0QHhpxo2xYEDeUU

上から3番目に示されている「地下匍匐茎」ライゾームが、高麗芝をはじめとする暖地型芝の本体。地下5cmくらいのところに集中しています。ここは芝が元気なほど厚くなり、盛んに代謝して、脱ぎ捨てた古い組織(いわゆるサッチ)も溜まります。
ここが過密になると、地上と地下の垂直方向の水の浸透が阻害され、地中での水の動きが悪くなっていきます。
芝の根は、全長の50%の深さで70%の仕事をする
芝は、ステップやサバンナで進化した植物。「雨が少ない」気候で進化したので、たまにしか降らない雨をキャッチする能力が卓越しています。このため、細根が水を吸収する先端部である根毛が、地中、比較的浅いところに集中的に配置される構造になっています。また、暖地型芝の場合、芝の本体ともいえる貯蔵・繁殖器官、地下匍匐茎も浅いところに層をなして配置されています。
故に、根の機能の多くは上層半分に集中的に存在し、深い層は上層で枯渇した場合の養水分吸収の補助装置として、生命維持(生理代謝の安定性確保)に貢献しています。

根の深さは、成長期の地上部の葉の長さの影響を受ける
刈込高2cmくらいで管理することが多い「家庭園芸の芝生」では、根の深さはおおむね20cmくらいです。(※根の深さは、地上部の葉の長さによって大きく影響を受ける)
つまり、地下10cmの環境を、いかに良好に保つか?が、とても大切なのです。
深さ6~8cmのコアリングは、ライゾーム層・サッチ層を貫通させる
市販の家庭向けコアリング道具は、概ね、地下6~8cmのコア抜きができるように設計されています。これはつまり、ライゾーム層・サッチ層を貫通させ、地上と地下を結ぶ通り道をつくる道具。なんです。

作業負荷が軽微なわりに、効果は高い。それが深さ6~8cmゾーンのコアリング。多くの家庭園芸芝生の愛好家さんにオススメの方法です。
これにより、芝が生育旺盛で過密になり、地下浅いところで水の流れ(落ち込み)が悪くなってしまう問題が解決されます。最も、「労力 対 効果」が高いのが特徴。
少ない労力で、最大の効果を狙うなら、これがオススメ。
地下15~20cmのコアリングは、上層半分(70%の機能)の呼吸環境改善
プロがスポーツターフなどで実施するバーチドレンなどは、15cmくらいの深さのコア抜きをするのが普通です。これはナゼだかわかりますか?

スポーツターフでは、回復の瞬発力がイノチ。芝の根がもっとも活動するゾーンに新鮮な空気を届かせることを考える。

そのためには、地下10cmよりも深い層までルートをつくってあげると、芝の根の全活動の70%以上に効果を与えることができるんです。
家庭でここまでヤル必要あるか?
趣味の家庭園芸芝生の場合は、地下の水の引き方は、その土地の土性と客土の厚さなど、さまざまな要因によって異なります。何もしなくても水が地下に引いていく土性もあれば、我が家のように粘土質のグライ土で、なかなか水が抜けない土もあります。
こだわる人は、この15~20cmゾーンにコアリングを施すのは、芝の生理代謝の観点で有効な手段です。

家庭向け市販品のコアリング道具では、バロネスタインエアレーター+オプションの超ロングタイン、一択ではないか?と思います。(家庭向け本格刃物の既製品として)
ただし、この深さのコアリングは、通常のタイン(深さ8cm程度)に比べ、労力は3倍以上必要だと僕は感じました。また、地下の異物(石などの混入物)の状態によっては、この深さまで刺さらないこともあるかと思います。
ディープコアリングは、理にかなった効果的なコアリングではありますが、重労働となりますので、それなりの覚悟は必要です。
砂詰めはきっちり。中途半端がイチバン良くない
理想は、空いた空間を下から上までキッチリ透水性のよい砂で満たす。

しかし、あまりにも芝が過密に育っている場合などは、「あけっぱなし」にすることもあります。一番やっちゃいけないのは、「中途半端に埋める」こと。水のバトンが途切れると、そこから下に水が落ちていきにくくなる現象が生じるためです。
つまり、大切な「空気の入れ替え」機能が損なわれ、地下の空気を避けて水が流れてしまうのです。意外と知られていない重要な話。(エアレーションの不成立)
芝生に適した良質な砂は、「水のバトン」がとてもスムーズ。
ポイントは、地中に向かって垂直方向が、同じ性質の粒で構成されていること。土と混ぜ込んでしまうとこの効果が低減してしまいます。
この縦の層の水の引き(下部移動)が、スムーズであることにより、地表から新しい空気がより深いところに吸い込まれます。コレこそが「エアレーション」の真髄なのです。
土の中は、絶えず動き続けている
意外かもしれませんが、コアリングでイジルような「地表に近いところの土」の中は、大きい粒・小さい粒が、水や空気、植物・微生物たちなどの動きの影響を受けて、絶えず少しずつ移動しています。コアリングでつくる「砂のルート」は、1年、2年・・・と経つうちに次第に崩れて他の土と混じっていきます。
だから、家庭でも年に1回くらいは新しいルートをつくってあげることが、土の中の空気の入れ替え効率の観点で、有効になってきます。
コアリングについて詳しく勉強したい人にオススメの本
静岡県芝草研究所、池村博士の本がとても分かりやすい解説ですので、オススメです。
コア穴は、砂できっちり埋めるか?ちゃんと埋めないならむしろ何もしない(あけっぱなし)ほうが良い・・・ということが理由を添えて書かれています。
地下30cmゾーンを超える水抜け改善は土壌の水抜け対策
コアリングにもデメリットがあります。それは、先端部の「土の押し込み」。1年や2年では問題になりませんが、5年、10年と続けていくうちに、一定の深さに「圧縮層」が形成されていきます。
バロネスタインエアレーターに「深さをバラスための調節器」がついているの知ってますか?

中央部分にある鉄の板をスライドさせることで、タインを差し込む深さを変えることができます。

家庭園芸専用の道具でありながら、プロの本格マシンと同じ機構(タイン差し込み深さの調節)があるなんて、サスガですねー。感心します。
そうはイイながらも・・・やはり、ずーっとアンダー20㎝ゾーンを差し込んでばかりいると、水の流れが一旦、その深さあたりで滞留しだす。
そこで登場するのが、ドリルです。

これはマキタのアースオーガ。農業用のビニールハウスなどの支柱の穴を開けるためのものです。
この深さなら・・・

芝の根圏よりも深い層への穴を貫通させることができます。

芝の根圏の下に水を通しにくい粘土の層がある場合など、水の逃げ場をつくる効果が期待できます。
・・・とは言うものの、僕自身買ったばかり。初めてのチャレンジなので、いろいろドタバタしています。
やっちまったー。。。
ドリルは、ほんのご参考ということでw
青木茂さん(Jリーグ 長野Uスタジアムヘッド)が「やったほーがイイ!」とアドバイスくれたので、今年、初めてやってみています。
この先、どーなるのか、お楽しみに。展開はショート動画でお伝えしていきます。
興味ある方は、YouTube「芝生の雑学 東京40まいる」チャンネル登録してくださいね!
一層、詳しく学びたい人には、メンバーシップ「芝生の学びと裏情報」があります。こちらは、月に一回、芝生管理の旬なテーマについて、有識者の皆さんとディスカッションしながら学びを深めています。
https://www.youtube.com/channel/UCL0rff6oYD5MglBDjvNDYIg/join
今週末、5月24日(土)21:00からのメンバーシップライブのテーマは、梅雨入り前の芝生管理。メンバーの方はお集りください。事前質問大歓迎!当日のチャットでも遠慮なくご意見・ご質問くださいね。今回も楽しくやりましょう!
次の動画か、ブログ、ライブ配信でお会いしましょう。
では、また!
2級芝草管理技術者 プラチナグリーンアドバイザー 土づくりマスター 緑の安全管理士
芝生の雑学 東京40まいる
2025ジャパンターフショー出演決定
いったい何やるのか?本人も、まだわからないw





