芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学を解説

【徹底解説】サッチスイーパーSS-2000 芝生サッチ除去の手動ローンコーム

実戦でのSS-2000の実力は期待以上

サッチ除去マシンのゲームチェンジャーかもしれません。去る2月11日に、キンボシの手動ローンコーム、サッチスイーパーSS-2000で、高麗芝とセントオーガスチングラスの「枯芝の除去」に実戦使用しました。

結論から申し上げると、使い方次第で、電動ローンコームと同等のサッチ除去能力があります。地表を完全に覆っている密度が濃い芝生の場合、電動よりキレイにサッチを跳ね飛ばし、床土の巻き上げが殆どありません。この点は電動より秀逸。

ただし、取扱説明書記載とは少し違う使い方を僕は推奨します。(※自己責任でご判断下さい。)

また、サッチについての基礎知識が無いと、この製品の「本領発揮」に辿り着かない(その手前)可能性があります。以下、そのことについて詳しく解説します。

マニュアルに書かれているこの製品の使い方は電動の手動再現

取扱説明書11頁に「ポイント:サッチ取りのコツは・・・」と題して、一歩前進・半歩後退というように、前進後退をリズミカルに繰り返して、回転部(サッチコーム)の回転速度に勢いをつけることを推奨しています。

取扱説明書 P11に記載

つまり、マニュアル記載で推奨されているのは、一度芝生の上を通過するときに、何回転もコームを当てる方式・・・あたかも電動ローンコームのような動きを手動で実現しようという設計コンセプトのようです。

僕の考えでは、あえて回転を必要以上に上げずに、普通に芝刈りするように一方向に動き、それを何巡か回を重ねる方が良いのではないか?と思うのです。

参考に電動の動きをご覧ください


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電動では、1回の通過で何回もコームを当ててサッチを解して一気に除去

これが、大幅にサッチ除去の「時短」を実現してくれるポイント。たった1回通過するだけで、何回も繰り返してコームが芝の根元を掻き込む。それで一気にサッチがほぐれてとれるわけです。

この「一気にサッチ層までほぐす」ことが、やや強引であるため、電動マシンを使用した直後は「芝生が荒れる」ことになります。地面に定着していた芝の一部が浮き上がる感じです。

SS-2000は、上の層から順番に剥がしていく

こちらが、SS-2000でサーっと1回通過(芝刈りのように)した場合の集草ボックスです。画像ではわかりにくいですが、上記の電動に比べて、色が白っぽくてふわっとしています。最初の1回目では、地表部上層にある「枯芝」を拾っているんです。

この画像 ↑ をクリックしていただくと、ショート動画でご確認いたけます。

ピンが長くて柔軟性があるので、芝のダメージが少ないのにキレイに枯芝だけが跳ね上げられる。この動きは他の電動マシンでは再現が難しい。(不可能といいたい)

さらに、ロボット芝刈り機などのワイヤーがペグ止めで敷設してあっても、我が家のケース(芝がしっかりワイヤーを覆っている状態)では、ワイヤーが引っかかることがありませんでした。

この模様は、発売前の我が家での試行テストの動画でご覧いただけます。


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低く刈り込んだセントオーガスチングラスにも使える

セントオーガスチングラスは、地下匍匐茎(ライゾーム)を持たず、地表部に太い匍匐茎(ストロン)を網目のようにめぐらしてグランドカバーする芝です。このため、手作業のレーキでさえも、匍匐茎にひっかかってしまい地面からむしり取られてしまうのが悩みでした。

SS-2000は、表層部から順番に除去していくので、芝本体にやさしく、枯芝やサッチだけが綺麗にはじき飛ばされます。ご覧のとおり、セントオーガスチングラスの匍匐茎は地面に定着したまま、枯芝・サッチは除去されます。これまでの手段とは違う、この製品にしかない付加価値の一つです。

SS-2000の2つの機能

芝刈り機のように、さーっと一方向に使用した場合、日常の表層清掃(刈りカス清掃)としてホウキのように使えます。まさにスイーパーの役割です。

何回か重ねて、SS-2000を動かすことにより、次第に深層部にあるサッチ層に到達し、電動ローンコームのような、サッチの本格除去ができます。

サッチ層というのは、芝の死骸の堆積物。枯れた根や茎には、維管束という硬い管(水や養分の通り道)があるので、すぐには分解されず、長く地中に残ります。これがいわゆる「サッチ」です。

見分けは簡単です。1巡目のようび、明るい色をしているのが表層堆積物。刈りカスや枯芝です。

分解途中の黒っぽい色をしているのが所謂サッチ。未分解の維管束等が多分に含まれます。

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サッチの構造を考えてみればわかる

芝の根元の堆積物には2種類あります。一つは、地上にある枯葉の堆積物、もう一つは地下から生えている芝の死骸(所謂サッチ)です。

この画像は観察用のポットに植えた高麗芝。芝焼きした直後です。

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上部の黒焦げのすぐ下に「太い根の厚い層」があるのがお分かりいただけると思います。これが芝の本体とも云えるライゾーム層です。芝はここを生命の源に、貯蔵したり消費したりしながら芝生を形成しています。

刈りカスや枯れた芝の葉は、この層の上に溜まります。一方、所謂「サッチ」は生きていた頃のポジションのまま、このライゾーム層に絡みついて溜まります。

地下と地上を結ぶ根と茎には、養水分が通る高速道路とも云える太くて丈夫なパイプ「維管束」があります。これがナカナカ微生物分解されず、長く残って通気・透水性を損ねていくのです。

その違いは、このように手作業でやってみるとわかります。最初は、軽くてフワフワした上層部の「枯芝」がとれます。


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やがて、何度もレーキ入れを繰り返すと、地面の中から地上に向かって土に絡みついているサッチ層がほぐれて、モリモリ出てきます。サッチ層を掻き出すためには、何度もレーキ(コーム)を入れて解さなければいけません。

サッチの基礎知識についてはコチラの動画で解説しています。


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春の芝生の準備、オススメのSS-2000使用方法

土・砂をあまり巻き上げないのは大きなメリット

手動式ローンコームのSS-2000の大きなメリットは、電動みたいに強引に土の中をかき回さないので、床土(砂)をあまり表層に掻き出さない点です。

砂などを掻き出してしまうと、特にリール式芝刈り機では、刃の摩耗が進んだり傷んだりする原因になります。(故に、本来は「ロータリー式」を使うのが良い)

適度な芝起こしと枯芝・サッチ除去ができる

SS-2000のコームは、柔軟性があるので、通常の芝刈りのように通過すると、やさしく芝を起こしてくれます。リール式芝刈り機は、枯れた芝をカットするのが得意ではありません。一度に多く挟み込むと、刃と刃の間の潤滑が利かず、とても大きな力を必要とします。(レーキの手起こしではよく生じる現象。リール刃とベッドナイフの間にゴッソリ枯芝を挟み込んで、芝刈り機がひっかかる)

芝刈り(高)→ SS-2000(高)→芝刈り(中)→SS-2000(中)→芝刈り(低)→SS-2000(低)

このように、芝刈り機とSS-2000を交互に使って、段階的に刈込高と、コーム深さを引き下げていくと、芝刈り機の刃にも芝の根にもやさしく進めることができます。

そして、最終段階(SS-2000 3~4回通過目)では、なんと電動ローンコームと同じくらいモリモリとサッチがとれます

これは、手作業レーキでのサッチのとれかたを思い出していただければワカリますね。

そういう目線で、実際の作業とサッチの取れ方を、このノーカット映像でご覧ください。僕が言っていることがお分かりいただけると思います。

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結局、電動とSS-2000は何が違うのか?

それは、同じサッチ量を除去するために必要な、走行距離(≒時間)です。

電動は、一回の通過で全行程が終わるから時短が成立。

SS-2000は、上の層から順番に取り崩していくので、電動の4倍から5倍くらいの距離を走行させることになります。

そこが大きな違いです。結果は大差ありません。SS--2000、なかなかヤリます。

手作業に比べたら、遥かに軽快で、時短になります。

ご参考までに、我が家の芝生(約35平米)でのサッチ除去作業時間

手作業:キンボシサッチ除去専用レーキ 4010

重労働 約半日。3時間半程度

手動ローンコーム:キンボシサッチスイーパー SS-2000

軽作業 約40分~50分

電動ローンコーム:キンボシLCA-260RW

軽作業 約15分

日頃からの手入れに使えるのはSS-2000

電動にはできない、枯芝除去上層部に積ったゴミの清掃に使えます。

日頃から、気軽にホウキ代わりに使うことで、芝の根の表層部をいつでも清潔に保つことができそうです。これは、いままでにナイ新しい芝生管理。

たとえば、ロボット芝刈り機などを使っているご家庭では、たまに、サーっとSS-2000をかけておくと、一層、芝生が健康になるかもしれません。

このような使い方があるのですが、取扱説明書のP9「2.サッチ取り手順」には、「サッチとり作業は何回も行うと芝生を傷め、再生に長い時間がかかるため、作業は年1回程度にしてください。」と書いてあります。 

取扱説明書 P9より

これは、サッチの徹底除去をやった場合のことだと思います。確かにサッチ層を頻繁に取り除くと、芝の一番大切な根の根幹部を頻繁に刺激したり傷つけることになります。

また、サッチには踏圧やショックをやわらげたり、良い面でも悪い面でも緩衝能を高める機能もあります。あまりにも過度に除去しすぎるのは良くありません。

しかし、「日頃のお掃除」として、月に1回くらいさーっとSS-2000で表層のゴミ(サッチではない枯芝)をとると良い効果が期待できると僕は思います。

それこそが、このキンボシサッチスイーパー SS-2000が、家庭園芸の芝生管理に革新をもたらすものだ!と考えた所以なのです。

メーカーさんであるがゆえ、ディスクレーマーの観点で、このくらい慎重に表示する必要があるんだと思いますけど、秀でた製品特徴を封印する内容なので、むしろ「特長」として打ち出したほーがイイと思うんだよなー 僕は😅

この週末、しばたんに言いたかったのはコノコト。スゴイ発明ですよ!SS-2000は。家庭園芸芝生の管理が変わる!

ありがとう しばたん。

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2級芝草管理技術者 プラチナグリーンアドバイザー

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