芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

芝生の健康管理に役立つ肥料

肥料を上手に操るには、土壌化学を中心とする専門知識と経験が必要です

肥料は土の化学性のコントロールです。上手に使えば芝を健やかに生育することができますし、ドラッグ的に過剰投与で目先の芝を美しく魅せることと引き換えに大切な何かを失うこともあります。誤れば衰退または枯らし、土壌への影響はその後何年にも及ぶことがあります。

家庭園芸用の肥料は、これらの専門知識を持たない人でも、用法・用量を守れば概ねストライクゾーンにおさまるように設計されています。

今回は、家庭園芸芝生での、安全・保守的な肥料の使い方の一例をご紹介します。肥料の効き方には、速効性・緩効性・遅効性の3タイプがあります。これらの性質を理解して、上手に活用するのがコツです。

肥料 芝生の手入れ4月25日 #芝生 - YouTube

我が家の芝生で使用している肥料の種類と使い方の実例をご紹介します。

メイン肥料:イデコンポガーデンEV(遅効性)人間の食事にたとえると「自然食」

芝を安全に穏やかに育てたい人は、この肥料だけで充分です。パッケージに書いてある用法・用量の範囲内で散布すれば、2カ月くらいかけてゆーっくり土の中で変化し、芝が最も美味しく食べられる栄養に変わっていきます。

バチルス菌資材として、サッチの分解能力が有名ですが、それ以上に「安全な肥料として」の有用性が高いです。撒いた直後の変化は殆どありませんが、気づいてみれば後から「なんか調子いいな」と感じる、そんな肥料です。

けい糞を中心に有機成分主体でありながら、肥効はシーズン内で概ね消えてくれますので、用法を守っている限り、土壌への悪影響も殆ど生じません。

毎年、ルーティンで安定した芝生管理をしたい人や、難しい心配をしたくない人向け。

使用実績6年目。僕が最もオススメする肥料です。

補助肥料:バロネス芝生の肥料(緩効性) 人間の食事にたとえると「栄補助食品」

先に紹介したイデコンポガーデンEVは、撒いてから2カ月くらいは、あまり肥料として芝の栄養になってくれません。例えば、春。この季節に撒いたイデコンポガーデンEVが、肥料として本格的に芝の栄養になってくれるのは、6月頃です。

芝は今からが成熟期。養分を積極活用して体幹を強く整える季節に入っていきます。

「今」芝に肥料をたべさせたいとき、役に立つのが、芝生専用に設計された化学肥料、バロネス芝生の肥料です。

撒いた直後から穏やかな肥効が立ち上がり、概ね2週間~3週間くらいの期間、安定して芝に養分を供給してくれます。

我が家では、イデコンポガーデンEVをメインに年間計画を組み立て、その肥効が出るまでの間をつなぐために、バロネス芝生の肥料を標準用量の半分くらいの少量散布で、年に数回入れます。

「調整用」として役立つ緩効性肥料です。もちろん、この肥料をメイン肥料として活用している人も大勢いると思います。標準的な芝生専用化学肥料です。

年に一度だけ微量使う「超緩効性」マグァンプK 人間でいうと予防接種?

リンとカリウム、そしてこれらの吸収を助けるマグネシウムを含む、超緩効性肥料です。年に1度、梅雨入り前のコアリング時に、1穴1粒(中粒)を目安にごく微量使います。リンは土壌内で金属と結合して、取り出せなくなってしまうので投入しずぎは絶対にいけません。芝生の場合「ごく僅か」かつ「土の中」に入れることがポイント。

カリウムは、過酷な環境での芝の耐久性を向上させます。リンは、あらたな根をつくるのを促進します。だから、真夏の準備として行う梅雨入り前のコアリング時が、とても有効なのです。

なお、地表散布では効果は殆どありません。リンが地表で流亡しやすい上、土壌に浸透する過程で地表浅いところの鉄分と結合して、肝心な根の深いところには殆ど届かないからです。
リンは、地中に埋める(かつ、植物が吸収できる量だけに調整して余らせない)のが鉄則です。

こだわる人、良く理解してる人の裏技的存在。

予防接種と同じで「使う?」「使わない?」は、人と土壌の状態(化学性)次第。土壌診断が役立ちます。

速効性なら、液肥 人間にたとえると点滴です

芝生用の液体肥料として有名なのが、メネデール芝肥料。

速効性肥料は、あらかじめ、芝が吸収できる状態になっている肥料分です。撒いてすぐ、その鋭い効果を実感できるので、ファンは多いはず。

基礎的な土壌環境を整えている場合、年に数回、ここぞ!という時に使うのは効果的です。つまり繊細な調整に役立つタイプの肥料です。肥効はとても短く「すぐ効いて、すぐ効かなくなる肥料」です。数日単位のコントロールに向いています。

お客様が来る2日前に散布すると、それはそれは最高の表情を見せてくれると思います。

しかしこの肥料だけに頼って育てると、芝と土のコミュニケーション環境が変化したり、芝自体が軟弱化する傾向が生じる場合もあるので、使用には「バランス」が大切です。

人間も、健康な人にご飯たべさせずに、点滴だけでイノチをつないだら、弱い人になっちゃいますよね。それと同じだと僕は思います。

真夏など固形肥料が使いにくい季節に、希釈倍率高めで散布するなど、他の肥料とは違った使い方ができるので、手元のラインナップには加えておくことをオススメします。

芝が本来食べるべき、「自然食」+「栄養補助食品」。これに、「予防接種」と「点滴」で、パフォーマンスコントロール

芝は、窒素肥料を投入すればするほど、見た目は、ぐんぐん育ちますが、芝の体内での必須元素の移動速度には、差異があります。

あまりにも、葉を早く育て過ぎると、カルシウムなど移動速度がついていけず、細胞壁が弱くなったりして、「軟弱な芝」になってしまいます。

また、夏場など最盛期は、芝の体全体に余力がなく全開で成長していますので、こういう時に窒素肥料を過剰投与すると、葉はぐんぐん伸びていかにも元気そうに見えますが、根はボロボロ・・・ 翌年以降、芝が貧弱なスタートになったりします。

これらの性質を理解して、上手にコントロールしていくのが、芝生管理の醍醐味。安全な肥料を中心に、上手に肥料の組み立てを考えていきましょう。

近いうち、YouTubeで5月~8月までの「芝生の雑学動画 夏季編」を制作する予定です。

お楽しみに!

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