芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

バロネス目土・焼砂を使って実現する庭の病害判定と対策 目土・目砂を乗用車で輸送する時の注意点

ホームセンターで400円で手に入る目土があるのに、その4倍価格のバロネスの目土・目砂を使い続けているのはなぜか?その理由を詳しくお話しします。
結果的にコスパ良く庭の芝生管理ができる。という話です。




我が家のメインのコウライシバは、2018年、引っ越してきて初めて迎えた年は春から秋まで病害のオンパレードでした。

その後の経年観察により病害の発生傾向がわかり、この庭の土壌に合った年間の防除プログラムが確立されました。
以来、2シーズンは病害発生はありません。
どうやって病原を特定し効果的な対策を実現したのかを詳しくご説明します。

病原体の多くは土壌経路で伝播

暖地型芝の病害の主な原因となる糸状菌の病原体は、さび病とカーブラリアを除くと、そのほとんどの病原伝播の経路は「土壌伝染」です。

土や残渣に定着して、ある条件が整うと数が増えて侵略力を増し、生きた芝を襲うタイプです。

土壌伝染タイプの病害は、容易には移動できませんから、外からの新たな持ち込みさえなければ、庭にいる病原体の種類の特定が可能です。
そこで、我が家でとった作戦は「徹底的に外からの持ち込みを減らす」ということです。

発想の原点は、レースでのマシンセッティングの学びから

若い頃、自動車競技の師匠から教わった教訓。
サーキットでのラップタイムには大きく2つの要素がある。

  1. 車両の「セッティング」
  2. ドライバーの「再現性」(正確である技量

どちらかを固定(一定に)しないと、タイム計測に意味がない。

車両セッティングを固定すれば、ドライバーの「再現性の精度(つまり技量)がわかる。
うまくいったりいかなかったり、周回毎にタイムにバラつきがあるレベルではセッティング以前の問題。
ドライバー側に「同じ再現」ができる精度(技量)があって初めて、そのドライビングに適合した至高のセッティングが可能になる。
タイム差=セッティング変更の作用による差

何事も「検証」して原因を特定するためには「それ以外の要素」を固定する必要があります。

つまり複数の要素が、複合で変動しつづける限り、その結果あらわれる「値」の変化から何かを得ることはできない。・・・ということです。

芝生への外部からの病原体持ち込みを極力減らす方策(庭の性質だけを観察する方法)

庭の土壌に棲みついている病原体の性質を観察・判定するためには「外部からの新たな持ち込み」(複数の変動要素)をシャットアウト(固定)することが有効。

★土足禁止 芝生専用シューズ


これで靴底からの持ち込みの可能性を無くします。

★鳥と猫の迎撃システム


どんな動作をするシステムなのかはこのリンク動画を見てね!
猫まわれ右びっくりスプレー芝生のネコ糞尿対策 フマキラー - YouTube
あまり高価なものではないので、庭への侵入経路すべてに設置することが理想です。

外の土地からやってくる鳥獣を脅かすことで、警戒して次第に芝生の上に来なくなります。侵入者が減れば新たな持ち込みの可能性も減る(^^)

★バロネスの目土床土・目砂焼砂以外使わない

この土・砂を使っている限り、外部の土の持ち込みによる土壌伝染性病原体の侵入はゼロです。
しかも、芝生専用に成分・粒度・pHがチューンナップしてあるので、何も考えずそのまま使うだけの気楽さ(^^)

さぁ、この管理で生じる病害はこの土地由来のものですよ。
外部からの伝播をシャットアウトしましたから。
これで初めて、原因(病原体の存在)と発症の因果関係の輪郭がハッキリします。(推定しやすい)

判明した病害傾向と対策

土や人・鳥・獣による新たな病原体の持ち込みを極度に抑止し結果、我が家の芝生の床土における季節ごとの病害傾向が明らかになりました。

●春はげ症

発症は春。感染は10月から11月です。
秋にリゾクトニアに卓効のクルセイダーフロアブルを散布し、菌の増殖を押さえます。

春ハゲ症の菌は、単体の感染力が弱く、数が増殖しないと生きた芝に感染できません。感染は秋に起こるから秋の菌の数を減らすのがもっとも有効な対処法です。(実は簡単なこと)
春になって症状が出てからでは手遅れなのです。

●ラージパッチ

春先になって地温15度くらいから急に増えて、生きた芝に感染するので、4月初旬にトップグラスを撒いて菌数を減らします。

さび病

感染力がつよく胞子がいつでも飛んできます。
芝自体の侵略抵抗性を強くして、感染・発症しにくい状態を維持することが大切です。

生物刺激剤(バイオスティミュラント)のアルムグリーンはまさに芝の生命に刺激(緊張感)を与えて本気の警戒体制を引き出し続けるもの。刺激を察知して、生きるために根張りを促進するわけです。

健康な状態での根の切断は、傷い反応(正常に戻ろうと抵抗に活性するチカラ)を引き出し、抵抗力が強い芝になります。

夕方の散水を控えて芝の葉が乾燥した状態を保つことが大切です。(病原は葉の気孔から侵入します)

●カーブラリア葉枯れ病

コイツは雨が原因で生きた芝に感染します。
普段はサッチの中で暮らしていて、20℃を超えてくると急速に活発になって分生子をつくって待機します。

そして、雨が降るとこの分生子が飛び散って芝の表皮について、そいつが酵素で芝の表層を破って侵入します。
対策としては、まず、梅雨入り前に棲家のサッチを減らしておくこと。

芝生サッチ取りの基礎知識 取り方・考え方・芝の生態としてのサッチの役割ほか雑学 芝活2021 作業016 - YouTube
そして雨に備えて土壌殺菌型のユニゾン水和剤を散布します水が溜まると芝が集中的に攻撃を受けるので、この病害の対策として表面排水の改良はとても重要となります。

【検証】芝生の表面排水 水はけ効果検証ノーカット 芝活2020#31 - YouTube

土の条件を固定すれば病害の原因は特定できる

これは家庭だからできる大きなアドバンテージ。ゴルフ場は大勢の来場者がプレイするので、外部流入を完全阻止することは困難です。

家庭の芝生はオーナーが支配人。芝のためだけを考えて最善の策が打てるフィールドなのです。
僕は、安全なバロネス目土・目砂だけを使うことで、庭の土に棲みついている土着病原体の発生傾向を掴むことに成功しました。
病気の種類と原因さえわかってしまえば、あとはその感染メカニズムを阻止する対策を施せば、病害は発症しなくなります。
実は病害の克服手順は簡単なことなんです。(観察〜発見、実践まで時間はかかりますが)

芝生の病害発生メカニズムを詳しく知りたい方は、農業マガジンへの寄稿記事をご覧ください

農業マガジン | アルム農材(漢方農業資材のアルム)

芝生病害の基礎知識をわかりやすく解説

バロネス目土床土と目砂焼砂は果たして高いのか?この価格がもたらす価値を考える

バロネスダイレクトでの販売価格は3袋計30Kgで税込送料込みで4990円

庭に5000円札をばら撒くイメージw

しかし、この5000円に含まれる価値を考えてみましょう。

- 持ってきてくれる(輸送コスト)

自分で取りに行けば「タダ」と考えている人はアマイです。ご自身の時間と労力のほか、運搬には燃料がかかる。さらにはまとめ買いで運ぶ場合は、重量による運搬車両の消耗もあります。
乗用車の弱点はリヤハブ

僕自身の経験として、一般の自家用車のトランクには重量物をのせないことをオススメします。

若い頃、費用節減のため「自走」「タイヤ詰め込み」で競技場に通っていました。こんな感じ。
乗用車にタイヤ12本を詰め込む動画 A lot of tires into the Mitsubishi COLT CJ - YouTube
しかし、貨物車でもない限り、乗用車は重量物を後ろに載せる想定で設計されてはおらず、リヤタイヤのハブは比較的華奢なものを使っていることが多いです。
このため、タイヤ満載での高速道路移動では、常にリヤタイヤハブへの負荷がかかり、ベアリング摩耗により毎年、リヤハブを新品に交換する必要が生じました。
結果的にこうして競技車を輸送するのが最も合理的でした。

-目土・目砂の大量買いを乗用車でやっている人は、トランク積載はNG。

人間が乗る居住スペース(しかもなるべく前寄せ)に積むようにすると、リヤハブの負荷は軽減されます。※前輪と後輪の車軸より内側であれば重量(荷重)が4輪に分散します。
そもそも車の重心から遠いところに重量物を載せると自動車の操縦コントロール性も低下します。安全運転の観点でも、目土・目砂は居住スペースへ。

ハブのガタに気づかない人も多いと思いますけど、愛車を大切にするなら無茶な積載はしないほーがイイですよ。居住スペースに詰めている限り設計の想定の範囲内乗用車のリヤハブ(タイヤの回転軸)は真上からの重量に弱い。知っておいてください。
一説によれば、サスペンションが重量で目一杯沈みこんでいる状態での高速進行、さらに高速道路の継ぎ目「ガタん!」の連続がリヤハブに厳しいようですよ。
生産工場に近い人は、直接買い付けのメリットがありそうですけど、我が家のような千葉のはずれ、太平洋に面した街ではそのメリットが享受できません。

あんな重量物を玄関まで運んでくれるのがありがたい。

- 芝生用に調整済みである

自分で材料を買って、洗って、熱を入れ、ブレンドしてpH測って調整する・・・
これ、全部やってくれています。届いたらただ使うだけで最高の状態。

- 病原体や害虫の卵、雑草にタネが混入していない

実はこれ、大切なこと。ちゃんと信頼できる処理がされているという安心だけでも大きな価値があります。

- 保管場所が要らない

土って置き場所とって大変ですよね。
使う日に届くように発注すれば、保管場所不要。
これも通販の大きなメリットです。

ただし、昨年2月のロシア・ウクライナ侵攻の頃、一時的に目土・床土の欠品が生じました。初めての経験です。
これからの時代、「必要なものは早め手配」が原則になっていくんでしょうね。

- 自分自身が動く「時間の対価」を考える

これは僕が歳をとったからでしょうね。
やりたいことだらけで、生活の中、ほんの僅かしかない自由時間をもっと他のことに使ったほうが価値があると思うんです。

  • こうしてブログを書いたり
  • 取材して新たな知見を得たり
  • YouTube動画を作ったり
  • 人と交流したり

・・・etc

- 強力なサポートチームがついている

バロネスダイレクトには専属のサポートチームがいます。単なる売り切り販売ではなく、いわばコンサル付き販売のようなもの。
コンシューマ向けに特化した、素晴らしい安心サービスです。

わからないことは質問すれば丁寧に教えてくれるし、普段と違う注文(目土の同時多発注とか)すると、心配して電話をかけてきてくれたりします。
自分はいまでこそ専門知識を持っていますが、独学でやっていた頃は、ずいぶんとサポートチームさんに教えてもらいました。
安心と知見を買う意味でも、わからない人ほどバロネスダイレクトでの購入は安心です。

- バロネス目土・焼砂には価格相応の価値がある

僕はそう思うから5年間もリピートして使わせていただいています。これからも高品質な製品・サービスを継続していただきたく、応援しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【注】最近、常連ユーザーとして、ちょっとだけ気になる変化があります。
目土床土の粒度のバラつきです。昨年2月の欠品以降のロットでは、時に礫に相当する小石粒が混ざっているのを複数パッケージで僕自身が確認しました。
過去にはこんなことありませんでした。
独断と偏見ですけど、僕が長年愛用してきたバロネス目土・床土に期待する「涙が出るほどのハイクオリティ」は達成できていません。
もしかしたら、仕入れが変わったのかもしれません(明確な根拠はありません)
この点は今後の動向に注意が必要かもしれません。
品質次第ではわざわざこの目土を選ぶ理由も無くなるかも。(※リピーター東京40まいる個人の感想です。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
話を戻しまして、上述のとおり現行価格は決してふっかけている訳ではなく、適正価格だと僕は思います。
どうか多くの支持がこれまでどおり集まり、高品質が維持されますことをファンとして切に願う次第です。

ところで、ホームセンターなどで見かける販売価格400円程度の芝生用熱処理土って、原価いったいいくらなんでしょうね? あっちが異常に安すぎるんスヨ。
あんな重量物をパッケージして輸送して400円で売っていったい幾ら儲かるんだろ??
だれかわかる人がいたら教えて下さい(^^;)謎です

目土・目砂は、実は床土と同じものが最良です

バロネスの目土・目砂は高価な投資だけど、いつまでも買い続けるものではありません。床土の環境改善が進んだら全量を購入する必要はなくなります。
土壌の物理性をもっとも活かせる土は「床土と同じ組成の土」です。土壌改良が進み、芝が健康に育つ床土が完成したなら、あとは庭で循環させるだけ。

我が家の粘土質ジメジメだった芝生土壌は、いよいよ微生物たちによる自律的な団粒化が形成される土壌になりました。団粒化は微生物が出すネバネバに土の細かい粒がくっついて小さな粒状になることです。
善玉の微生物たちがこの状態を作り続けてくれるのです。




自律的な団粒化のメリットは土の保肥力・保水力を活かしながら粒の隙間に空気もしっかり含むことができる点。
家庭の芝生の床土としては最も理想的な状態。

2018年シーズン以来、地道に年2回の緻密コアリングを実施。

バロネス目土・目砂とアルムグリーン定期散布を続けて丸5年でやっと手に入れた成果です。

今年はコア抜きのコアは捨てず、来年からの目土入れへの一部再利用を始めていこうと考えています。




これでやっと目土・目砂の経済負担から少しだけ脱出です(^^)よくがんばった自分。得たものは大きい。

芝は植物。長い時間軸で生きています。人間は焦らない

前述の病害を起こさない芝生づくりの実践には、2018年〜2020年まで、実に3シーズンを費やしました。
床土の改良には丸5年です。

それは当然です。芝を取り巻く土壌の生態系を変えていくんですからね。一筋縄ではいきませんが、地道に正しいことを実践していれば、時間の経過と共に自然のチカラが自律的に回転し始めます。そうやって改良した土壌は強いです。自然の自律回転が始まっていますから。

逆にあまりにも早く成果が出てしまうのは、人間と同じく何らかのドーピング作用が生じていることを疑わねばなりません。3年後、5年後の小さな生態系への影響はどーなるのか。
ながーく付き合う家庭園芸芝生では、そういう思考・感覚を持つことが大切だと思います。

自然のチカラを理解した芝生づくり。
土は自然の摂理で風雨と温度によって、大きくゆっくりと呼吸し、土の中の空気と地表の空気は入れ替わっています。そういう時間軸を大切にすると、芝が過ごしやすい穏やかな環境が用意できるんじゃないかな と思います。

芝生づくりにはいろんな考え方があってイイんですが、こんな長文を最後まで読んでいる熱心なあなたには、
「結果を急がず、土の自律的な変化を待ってあげる」
スローライフな芝生の趣味をおすすめしたいです。

僕は熱心なチャンネル登録者さんのお役に立つために、探究を続けています。
YouTube共々、これからもどうぞよろしくお願いします。
東京40まいる 芝生の雑学 - YouTube

春の芝生づくりに役立つ「雑学」40項目

まだご覧になっていない芝生好きの方は、このリンクをぜひ!
芝生の生育 2月・3月・4月 芝生の雑学【春季編】更新作業/病害防除/肥料/資材/土/きのこ?他 家庭園芸普及協会グリーンアドバイザー オンラインセミナー編 - YouTube

「春の芝生」だけでも、役立つ雑学はこんなにたくさんあります。芝の生態を理解して、もっともっと芝生のある庭を楽しみましょう!

次の動画かブログでお会いしましょう。
では、また!

芝草管理技術者
グリーンアドバイザー
土づくりアドバイザー
東京40まいる