芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

芝生のサッチ取り道具選びに役立つ基礎知識

サッチの主体は刈りカスではありません

芝の新陳代謝の結果、地面に食い込んだまま脱ぎ捨てられた芝の枯れた組織です。芝の幹にあたる導管・師管の硬い組織を含むのでなかなか分解されません。
刈りカスの影響もナイわけじゃありませんが、それは数%の話。末端の葉(葉の先端)は、茎の残骸とは違い、構造が柔らかく比較的分解されやすい組織です。

さて、この古い枯れた細胞の脱ぎ捨て・・・人間でも同じですヨネ。同じ肌に見えても絶えず新しい細胞が作られ続け、古い細胞を脱ぎ捨てて入れ替わっています。脱ぎ捨てた古い細胞は角質や垢となって肌に溜まるから、お風呂に入ってこれを取り除く。

サッチが溜まるのは人間のせい?

芝を健康に育てるために、芝の生育状態、主に新陳代謝のスピードに応じて、人間が取り除いてあげなきゃいけないのがサッチです。
芝を自然体の雑草のようにボーボーに、無手入れで育てるのであれば、サッチとりなど必要ありません。

自然の摂理に基づいて緩やかに新陳代謝し、穏やかに分解され、再び芝の養分として循環してゆくからです。

しかし「芝生」は人間が芝の性質を利用して人工的に造る究極の「不自然体」。

芝刈りをしたり、肥料を投入したりして「不自然に」新陳代謝を爆発的に加速させて脇芽の数を増やさせるワケですから、不要となる古い細胞の排出速度も早まり、未分解のサッチが溜まり、地表部に層を形成して次第に厚くなっていきます。

この層はある程度までは「芝生」を支えて強くしたり、物理的な緩衝に役立ったりもします。
しかし、通気性を損ねるほど厚くなると、芝の根の呼吸・吸水活動の阻害要因になったり、葉の蒸散活動の邪魔をし、さらには病害虫増殖の棲み家を与えてしまうなど、健全な生育を阻害する方向に働いてしまいます。

我が家の芝庭(僅か35㎡)の事例では、最盛期には、サッチ除去後の僅か2ヶ月間で新たにコンナ大量のサッチが形成されます。

芝の密度を濃く美しい芝生に育てるほど、サッチ層への対策は必須となりますし、逆に、粗放に粗い芝地に育てる場合はあまり神経質にならなくてイイ。
これが、サッチ取り道具を選ぶ際、知っておくべき前提の基礎知識です。

ある程度の広さでオンシーズン週1回以上芝刈りするこだわり派は、最終的にに必ず欲しくなる電動サッチングマシン

我が家の実例に基づき申し上げます。僅か35㎡の芝庭ですが、レーキを使って手作業でサッチ取りをやると実働約3時間の重労働です。

効果的に土の中のサッチ層を掻き出すためには中腰で根気よく何度も掻かねばならず、かなりの高負荷作業。
電動マシンなら楽々、僅か15分で完了します。しかも仕上がりは圧倒的に電動の方がクリーン。


サッチ取りは同じモーションの繰り返し作業。愛情込めて手作業、職人技で・・・という部類ではないんですよね。

もし、サッチ取りを一度も経験したことがナイ人でしたら、まずは基本どおり一度手作業で実践してみることをオススメします。サッチがいったいどんな風に溜まり、どんなプロセスで地表に掻き出されるのかが、よーくわかります。

それがわかったなら、あとはご自身の目的に合った最適な方法を見つけるだけです(^^)
ご自身のお庭の芝の状態、ご自身の体力・中長期的目線での労力や時間価値も含めて、冷静にイイ道具を見つけてください。

園芸とは道具を愉しむこと也。

ご自身に合った良い道具とめぐりあうことが幸せなんです(^^)

価格帯別 家庭向け電動サッチングマシン

🔳🔳🔳 20万円クラス 🔳🔳🔳

バロネス サッチングスイーパー(コード式)

バロネス コード付自走式サッチングスイーパー LM12V【送料無料】 | 芝生のことならバロネスダイレクト
硬質の多枚刃で地中を切り込んで掻き出すタイプ。
僕は使用したことがないのでレビューできません。YouTubeでは、SDI combine さんがご愛用です。

🔳🔳🔳 8〜9万円クラス 🔳🔳🔳

キンボシ電動ローンコーム LCA-260RW(コード式)

土の中に食い込んだサッチや、弱った芝の組織を効果的に除去する機械です。硬いコームで「地面の中」から掻き出すのがこの機械の特長です。
もちろん、地表に出たサッチを清掃するために+(地上)設定することもできます。
詳しくはこの動画で解説しています。
芝生の電動サッチ取りマシン対決!リョービサッチング刃vsキンボシ専用機LCA-260RW - YouTube

ハイパワーな専用機でありながら収納はこんなにコンパクト。さすが家庭園芸のキンボシ!年に数回しか使わない機械ですから、家庭では収納性もとても大切な要素ですよね。
6月の芝生更新サッチングと夏に向けて芝の間引き キンボシ電動ローンコーム 芝活2020#22 - YouTube
サッチの構造をよく理解して作られた製品なので、高さはマイナス設定中心です。(地下にコームが食い込む設定が原則) 季節に応じた使用目的に対応しています。
(冬明けは地表環境改善、梅雨前後は弱った芝の間引き等)
コームの硬さが絶妙で、ちゃんと土を掻いてくれるので、何年も使用を続けていくと、地表の凸部が均されて平になっていきます。

我が家での実使用の感覚としては
+3mm設定: 京セラ(RYOBI)の簡易サッチング刃と同等レベルの「地表のお掃除」ができます。
−2mm設定: 地表部改良 変質地表の揉み解しとサッチ層の削り出しができます。
−7mm設定: 芝の一部も除去・リセットされます。(通常は使用しません)
−12mm設定: 使用したことがありません。

唯一無二の「コーム」については、このショート動画がわかり易いと思います。
芝生サッチングマシンの違いキンボシvsリョービ - YouTube

購入から丸5年を迎えますが、使うほど感心するばかりで、現在のところ不満は生じていません。
早いうちに買ってよかったと心底思っています。
素晴らしい機械です。

製品部品のうち、ベルトが欠品しているようです。
現存在庫がなくなると、暫し品切れ期間があるかもしれません。
「今」使いたい方は、少し急いだ方がいいかもしれません。詳細は、キンボシ公式しばたんブログ
2/13 お早めにご購入してください。 | しばタンのブログ

ハスクバーナS138i バッテリースカリファイヤー(コードレス)

たぶんこのブログが初めての一般公表になると思います。製品詳細情報は次のブログで解説
芝生道具★コードレス電動サッチ除去マシンが日本上陸!ハスクバーナS138i - 芝生の雑学 東京40まいる

予定では4月中の日本初回入荷で、正規販売が始まります。
販売価格は、税別本体価格55,000円
ご使用には別途ハスクバーナコードレス工具共通の36Vリチウムイオンバッテリー(BLi20, BLi200, BLi300が適合)が最低1個必要になります。

使用面積が広い場合は、最大2個までバッテリー装備できますので、コードの取り回しが難しい広いお庭では重宝することでしょう。

  • サッチングについては長いタイプのスプリングピン式
  • 根切りは本格刃物の多枚刃(僕はこれに期待しています)

すでにお持ちの方なら本体だけの購入で済みます。

詳細は次のブログでお伝えします。

🔳🔳🔳 5万円未満クラス 🔳🔳🔳

京セラ(RYOBI) LM-2310、2810+サッチング刃オプション

元々、この芝刈り機を使っている人は、サッチング刃オプションだけ追加購入すればイイので、最安値で電動を手に入れる手段です。
実際の交換作業イメージはこの動画でご覧ください。
意外と簡単。誰でもできますよ(たぶん)。
サッチング刃の取付け手順【トリセツ】リョービサッチング刃 - YouTube
ちょっと刃が短いように思いますが、根切り用の刃のオプションもあります。

この機種は、あくまで芝刈り機。サッチング専用機のように高負荷に耐える設計にはなっておらず、地面の中まで掻くことはできません。
あくまで「地表の」サッチ清掃の機械なんですが、これがナカナカやります(^^)
芝生の電動サッチ取りマシン対決!リョービサッチング刃vsキンボシ専用機LCA-260RW - YouTube

サッチは溜まってからまとめて除去するよりは「溜まり過ぎない期間をながーく保つ」ことが大切。
その意味で、電動のエントリーモデルとして、この機種が果たす役割は大きいですね。

LM-2310と2810の選択判断

リール式芝刈り機は、構造上、刃の枚数が多い(ピッチが狭い)ほど低刈りに適し、枚数が少ない(ピッチが広い)方が高刈り寄りを得意とします。
ご自身が、刈り込み高設定のレンジの中でどちら寄りの刈り込み高をメインに使うかで選ぶと良いと思います。
「中間くらい」なら、単純に刈り巾で選べば良いです。

なお、どちらの機種を選んでも、庭で旧式の掃除機をかけるくらいの騒音がでますのでこの点は覚悟してくださいw
芝刈り機選びの基礎知識をまとめた動画はこちら
芝刈り機の選び方 機種別のメリット・デメリット - YouTube

基本中の基本!手作業サッチングレーキ

初めてサッチ取りする方は、まずは手作業でやってみましょう。意外と面白いので、この作業を楽しみながら実践できる人は、なにも高額な機械を買う必要はありません。

ステンレスレーキ

どこにでも売っている普通の清掃用レーキです。芝の土に食い込める形状ならどんなものでも構いません。
(いわゆる竹製熊手のような形状は使えません。先端が細いコーム状のモノが適します。)

実際の作業イメージはこちら
芝生のサッチとりは土の中を掻く!サッチングに最適な熊手とは? 芝活2021 道具004 - YouTube

サッチング専用レーキ

キンボシが家庭芝生のサッチ取りのために専用設計したレーキです。

チカラをかけずに水平にスライドさせるだけで面白いようにサッチが剥がれてきます。
芝生専用に設計開発された「ホンモノ」のサッチ取りレーキの実力 芝活2021 道具013 - YouTube

ここだけの話、どちらか一方を選ぶのであれば、僕は断然4010(小さいほう)推しです。
道具はバランスが大切で、4010は卓越してそのバランスがイイのです。

芝を健康に育てるには、芝の植物生理を理解することが一番!

春はこのくらい知っていれば十分ベテランの域です。
ご活用ください(^^)
【芝生の雑学】2月 3月 4月 更新作業/病害別対処法/肥料/資材/土/きのこ?他 家庭園芸普及協会グリーンアドバイザー オンラインセミナー編 - YouTube

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次の動画か、ブログでお会いしましょう。
では、また!