家庭園芸では、庭の陽当たりやその場所の性質によって適合する植物を選択するのが肝。我が家は、住宅密集地で南側すぐに家があるんで、その日陰で庭の面積の1/3は、一年を通じて日あたりが悪く、コウライシバが育たないエリアがあります。
日陰に強いグランドカバープランツといえば、タマリュゥなどが有名ですけど、如何にも日陰の植物っていうイメージになってしまいます。
もう少し陽気な「芝生」にできないかなーと思って「世界一日陰に強い芝種」として辿り着いたのが、このセントオーガスチングラス。
我が家では、2020年4月に初めて植えてから3年目のシーズンを終えました。
開始した当時は情報がすごく少なくて、Twitter中探しても「セントオーガスチングラスの生育を呟いている人」は4人しかいませんでしたけど、今では20人を超える人たちが育てていて、相互に情報交換しながらこの芝の育成を楽しんでいます。
公共分野では、池村博士率いる静岡県芝草研究所が、校庭や公園などでの活用普及に力を入れていて、2022年の春には、ついに静岡県から「日陰になりやすい中庭などに セントオーガスチングラスによる芝生管理マニュアル」っていうのが公開されて、誰でもこのマニュアルを活用して、セントオーガスチングラス育成にチャレンジしやすい環境が整いました。
↓ このページの一番下に、セントオーガスチングラスの育成マニュアルがあります。
しかし、このマニュアルは、静岡県の気候でのみ有効ということですので、そこは注意してくださいね。
この動画シリーズでは、セントオーガスチングラスをごく一般的な家庭の陽当たりが悪い場所に植えた場合、実際はどんな風に育つのか、この3年間でわかったことを、みなさんに共有していきたいと思います。
まず、日陰にはどんな風に強いのか?っていう話です。
陽当たりがいいお庭で育てているケースは、何と言っても、「セントさんの芝日記」さんが参考になります。
シェード2の事例です。このシェード2っていうのは、ゾイシアンジャパンが販売している耐寒性が強い選抜種で構成されたソッドです。
ご覧のとおり、陽当たりが良いお庭では、刈込高2cm位でも、鮮やかな緑で密度濃くターフを形成します。
一方、一日2、3時間しか陽が当たらない、我が家の日陰では、2021年に実験として、セントさんと同じ2cmで刈り込みを続けていたら、病害への抵抗性が下がって、最終的にはラージパッチで死滅してしまいました。
陽当たりが悪い場所では、生きていくために必要な光合成を行うために、芝の葉の長さを調節してあげる必要があります。これはコウライシバと同じです。
我が家の日照条件、1日2、3時間しか陽が当たらないところでは、芝丈は5cmから10cmくらいが、健康に育つ条件だということがわかりました。
この5cmから10cmの芝丈、葉がサラッサラの質感なので、高級絨毯みたいな踏み心地で弾力性があってとてもイイ感触です。
休眠落ちが遅いので、12月頃までこの緑を楽しむことができます。
特に秋になると、緑の色がとても濃くなるので、その変化を楽しむのもイイですよ。
家庭園芸では、庭の陽当たりが悪いところの緑のアクセントに、ちょうど良い植物だと思います。
セントオーガスチングラスは、地上匍匐茎のみで広がるタイプで、地下匍匐茎を持っていません。だから、コウライシバみたいなソッドにするのが難しく、ホームセンターなどでの一般流通は今後もあまり期待できません。
現状、購入は、ごく一部の通信販売でしか手に入れることができませんけど、ひとたび、植えてしまえば、挿し芽で簡単にエリアを広げることができます。
我が家も気づけば、木陰のエリアはほぼセントオーガスチングラスで埋まりました。
まずは小さな面積でチャレンジしてみて、うまくいったら、自分で増やすことが可能です。
挿し芽のやり方についても、静岡県のマニュアルに写真入りで詳細が解説されているので、ご覧ください。
セントオーガスチングラスは、南国の芝なので、寒さには弱いです。冬の地温が恒常的にマイナス4度を下回るような地域では、冬に枯れてしまうので、適合にご注意ください。
千葉県北部の我が家では、2022年の冬、雪が積りましたがけど、春には元気に萌芽してくれました。
関東地方の一時的な寒さには、ある程度、耐えてくれるようです。
次のお話では、セントオーガスチングラスと雑草の実際、病害と殺菌剤などについて、実際のお話をしてみたいと思います。
次の動画でお会いしましょう。では、また!