芝の生育旺盛=サッチ生成が旺盛であるということ
今年は観測史上最短の梅雨明けにより、芝は6月から強い日照を浴びました。芝は葉の気孔から取り込んだ二酸化炭素と、根から吸い上げた水を原料に、光エネルギーを使って炭水化物をつくり、酸素を放出します。
この光合成によって、生理活動に必要なエネルギー源を例年にも増して潤沢に生成したのが今年の芝です。
十分なエネルギーを使うことができれば、原材料を使って、次から次へと新しい細胞をつくることができる。肥料・資材が適切に管理された土壌の芝は、例年よりも多くの新しい細胞を生成し、古い細胞をたくさん脱ぎ捨てているはずです。
サッチの主原料は「刈りカス」ではありません。
芝刈り機のキャッチャーに溜まる葉っぱとはまったく別の経路で、地中から脱ぎ捨てられるように、生きた芝の根本、地際の土に刺さりこんで溜まります。
サッチ取りの基礎知識をまとめた動画
昨年、サッチについての考え方をまとめて欲しいというリクエストをいただいたので、1本の動画にまとめました。この動画をご覧いただくと「意外」に感じる人も多いかもしれません。
真夏に溜まったサッチは、人間が理想とする芝生の管理に、さまざまな形で邪魔をします
特に「散水」の邪魔。
以前のブログで解説したとおり、真夏の散水の肝は、
- 地表は乾いていて葉の気孔からの蒸散が効率よくできること
- 地中は空気があり、必要な水が取得できること
つまり、地中に必要な水分を浸透させ、地表部は乾かすことが大切なんです。
厚いサッチ層が散水効果の邪魔をする
地際に厚いサッチ層があると、散水した水はまずサッチに含まれます。そしてなかなか土壌に落ちていきません。地中に水がなく、地際に水がある状態となってしまいがち。
これは理想の真逆です。
または、炎天下の水切れなどで過度に乾燥させてしまったサッチの場合は「水はじき」してしまって、その下の層に均一に水が届かない・・・なんてことにもなります。
芝生の仕上がりにこだわる人は、年間を通じて適切な季節にサッチ量のコントロールをした方が良いと思います。
芝を刈る ≒ 自然体芝ではなく人間の管理下に置く→ 管理しやすい状態を保つ
∴サッチ量を管理下に置く
「サッチ取り」≒「芝の根が傷む」と考えている人は、そもそも、真夏のサッチ取りのやり方を間違っている可能性があります。真夏のサッチとりは、優しく絡みついたサッチをほぐしとるように、丁寧に丁寧にカリカリカリカリとやります。
正確な知識で、適切に芝生の健康管理をしていきたいですね。
できることなら芝の生理的負荷が高い「真夏」は避け、その少し前(梅雨のうち)に、真夏のための地ギワの通気対策(サッチ除去やコアリング)をしておくとイイです。
年間の組み立て「どの季節にどういう状態にしたいか」を考えて、芝の状態が最も適した時期に施すのが良いと思います。
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