芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

異常気象の梅雨明け 芝生の管理で気を付けることは?

今年は「統計史上最短の梅雨」。この影響が芝生の生育にどう及ぶのか?まとめました。植物を育てるということは気候や環境と向き合うこと。芝生づくりはアドベンチャー。手入れが前年とまったく同じで良い年などありません。www.nikkei.com

そもそも、梅雨は無かったのでは?w

5月連休明けからの天候グズつきとは打って変わって、6月はとにかく晴れが多かったですね。6月の日照は真夏よりも強く、芝の状態(芝自体の状態・土壌管理の状態)によっては、良くも悪くも作用する1か月でした。

気象庁ホームページ 各種データ・統計より https://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html

我が家では、概ね6月上旬には地表を芝の葉が埋め尽くし、地面を触ることが困難な密度になりました。いわゆるピーク状態です。本来は梅雨対策として仕込んだエアレーション(ディープコアリング)が、想定と違えど、ちょうど良い具合に作用した結果です。

6月上旬には地面を覆い尽くした我が家の芝生


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野生の芝生がどうなっているかを知れば、人間がすべきことがわかる

気候と芝の生育の関係を察知するために、僕がいつも参考にしているのは、人の手が一切加わっていない野生化した高麗芝。「何もしないと芝はどうなるのか?」を常に示唆してくれます。過去にも、僕のブログや動画に登場しているあの芝です。

tokyo40mile.hatenablog.com


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この野生の芝、梅雨の酷暑で「今」どーなってるか?

例年、この季節は青く生い茂っているハズの野生高麗芝なのですが、今はなんと・・・枯れています。人間が手入れしなければ芝は枯れる。そういう気象条件です。

6/27現在、枯れている野生芝生

水切れでしょうね。ここはブロック塀の隙間から生えていますので、日照によりかなり高温が持続すると思います。水分を吸いつくした芝はやがて、葉の気孔を閉じ、葉が丸まり、細くなり、命の危険を感じて休眠したか、枯れたかのいずれかでしょう。(根が強く張った芝なので、おそらく休眠だと思います。)

水が枯渇すると芝はどーなるか?

僕は、失敗経験豊富(苦笑)ですので、いろんなサンプル動画(資料)を持っています。梅雨が異常に長引いた2020年、梅雨明け8月はじめはイキナリの酷暑。この時、不在にしていた間に、実験用ポット芝を極限の枯渇状態にしちゃいました。

ご覧ください!


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今年の芝生づくりの攻略は水管理が肝

真夏が約3週間早くやってきたわけです。そして、梅雨を想定して「例年どおり仕込んでいたこと」は、その影響を考慮して管理方法をシフトする必要がありそうです。

たとえば・・・

【定説】芝張りは6月初旬ごろまで・・・

それは、梅雨に恵の雨が降ることが前提です。今年、遅めに芝張りをしたお庭では、ソッドの乾燥に注意です。根が深く張っていない芝は、乾燥に弱い。

通常の散水(土壌に浸透を意識)とは異なり、少量をこまめに(芝の根に水をくぐらせる)撒いて根付きを促す手入れが必要になります。

理想は朝と夕暮れ前(夕刻)の2回。酷暑だとそれでも十分根付かず枯れてしまうことがあります。その場合は剥がすのも簡単(ソッドごとはがれる)なので、また秋か来年植えればいいのです。あまり神経質にならず、気楽に考えることをオススメします。

だって、趣味の園芸なのだから(^^)

梅雨を想定して肥料・資材を投入した場合

例年、うまくいっているのと同じ用量で撒いた場合、降雨不足により例年より土壌での濃度が濃い場合があります。散布から2週間程度は、多めの散水を意識しましょう。

病害

乾燥と芝の旺盛な成長力により、一旦、夏の間は目に見える発症が減ってきます。菌たちは不利な条件になると殻にこもって次のチャンスが来るまでじーっとやり過ごす能力を持っています。

直近まで病害が生じていた場合は、秋の長雨で再発する可能性が高いので、ゆーっくり夏のピークアウト後の殺菌プランを考えておきましょう。今年の夏は長そうですから(^^)

殺菌剤の選び方についての参考ブログはこちらです。

tokyo40mile.hatenablog.com

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害虫

我が家の芝生は、漢方農薬アルムグリーンを使い続けているので、副次的に害虫の数が少ないです。だから害虫経験は浅いのですが、一つ言えることは、あるべき梅雨が無いということは、害虫の発生傾向が例年とは異なる可能性が生じているということです。

例えば、長引く冠水続きで、本来窒息して数が減るはずだった幼虫の生存率が高かったり、逆に乾燥によって生育に障害を受ける個体が生じるかもしれません。

吉と出るか、凶と出るかは今後の経過次第ですが、「例年と違う」という認識で注意して観察するべき環境だと思います。

芝の漢方農薬アルムグリーン

芝の体力はなんと言っても「根の強さ」。短く刈り込んだ芝は生理的に根が弱く浅くなりがち。そこを補って伸長支援してくれるのが根の発根促進剤です。中でも正真正銘の漢方農薬アルムグリーンは、長い時間軸(年単位)で芝を強く健康に育てたい人には自信をもってオススメします。今から30年も前に農林水産省の「農薬登録」されて現在まで続いているので、効果は疑う余地がありません。だって本物の農薬なんですもの(^^)

我が家で丸4年の経過観察済です。

人間が飲む漢方薬と同じで、この資材を「活かせるか、否か」は、2週間に1回の定期散布を継続できるか、否かにかかっています。長続きしない人は、本当に「無駄」なので最初からやめておいたほうがいいです。

この薬がなぜ、効くのか、不思議で、国会図書館に調べに行ったことがあります。まだたった独り、独学でYouTubeをやっていた時代の懐かしい動画です。興味がある方はご覧ください。


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芝生YouTuberのティム_芝生の庭とDIYさんが面白い実験結果を公表しています。


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アルムグリーンは、生薬を発酵させて長い時間をかけて菌の力で作る薬なので、急な需要増加には供給が追いつかないそうです。サントリーの日本産ウィスキーが急な需要増加に耐えられず何年も店頭から姿を消しているのと同じですね。仕込みから製品としての供給まで時間がかかる。

現在の需要と供給のバランスが「ちょうどいい」という裏話もあります。価値を知っているユーザーだけでひっそりと末長ーく使っていきましょう(^^)

効果的な散水の仕方・考え方

ゴルフ場のコース管理(プロの世界)で、最も重要な管理のひとつが「散水」だそうです。芝草管理技術者の研修でも、「ベストな散水のためにコースに泊まり込みをするグリーンキーパーがいる」なんていう事例の話題も登場しました。(※危ないから夜間、一人で作業することは好ましくない という趣旨の事例として。)

その位、水を撒く時間、量のコントロールは重要だということです。

直近に公開した僕の動画で、家庭にお庭の芝生の「散水」についての考え方をまとめましたので、こちらをご参考にしていただけたら幸いです。


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2022年の特殊な夏をどう攻略するか

大切なことは「どうやったらいいか」ではなく、植物としての芝の構造、生き方を理解すること。それさえわかれば、「芝が喜ぶ手助け」を人間がしてあげればイイだけ。

芝の生理的メカニズムの理解が進めば、自分で考えて、芝と向き合えるようになります。

僕が云う「芝生づくりはアドベンチャー」という言葉には、いつだって変化する気候・環境・芝の健康に向き合って、芝が喜ぶことを選びつづける「攻略」。それこそが趣味の家庭の芝生の本当の面白さだ!という意味が込められています。

YouTube「東京40まいる 芝生の雑学」では、約500本の動画で、芝の生理的メカニズムに合わせた芝生の管理方法を解説しています

芝生づくりの参考情報のひとつとして、チャンネル登録していただけたら嬉しいです。

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次の動画か、YouTubeライブ、ブログでお会いしましょう。

では、また!