芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

5月の悪天候続きと芝生管理のポイント 異常気象下では何を変える?

曇天続き。五月晴れはドコへいったやら??

5月は本来、日照が強くて芝がどんどん体幹を強くしていく時期なんですけど、今年はなぜか雨が多いんでちょっと心配ですよね。この先の天気予報も、雨・曇りばかり。スキっ!と晴れ渡る日はナカナカやってこない。

出典:気象庁ホームページ 週間天気予報 https://www.jma.go.jp/bosai/forecast/#area_type=class20s&area_code=1210000

こういう時、芝生の管理をどうするのか?考え方と実践の実例動画を公開

まずはこの動画をご覧ください。ここから下の記述は動画の内容についての補足資料です。


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天候の認識は「主観」「思い込み」が作用するのでデータチェックは重要

芝たちはリアルに気象を感じ、環境の中を生きています。人間の感覚は直近の「印象」に左右されることが多く、しばしば、芝の認識と乖離することがあります。(ダジャレではありませんw)

芝と人間の気象認識を合わせるために、定量的なデータチェックが有効です。気象庁ホームページは、私達の税金で賄われた貴重なデータの宝庫。過去統計も、未来予測も誰でもアクセスして利用することができる、社会の共有財産です。どんどん活用しましょう(^^)

こちらが、昨年2021年5月の千葉県千葉市の日照時間

2021年5月の日照 出典:気象庁ホームページ 各種データ・資料

5月中旬まで充分な日照があった後、1週間停滞。その後回復してますね。

これが今年5月の日照

前半(今まで)は、それほど悪くなく、芝は充分な日照を浴びていたことがわかります。問題はこれから。 このグズついた天候が続いたまま、梅雨入りしてしまうと厳しくなります。

2022年5月の日照 出典;気象庁ホームページ 各種データ・資料

将来を予測して、早く手を打てば改善の「選択肢」は多くなります

芝生の手入れは、常にフォワードルッキングとバックキャスト。2か月先の未来を想像し続けて「今やること」を考えて手を打ちます。(結果は常に2か月遅れでわかる)

芝生の手入れの基本は、「芝が元気なうちに」手を打つこと。生きた芝は、あと僅か3か月で今年のピーク(最も美しい時期)を迎えます。無駄に足踏みしている場合ではないのです。

芝が傷んでから手を打ったのでは、原因への対処(例えば殺菌剤を撒いて菌の数が減るまで)に1~2週間、芝自身の回復に2週間以上のロスが生じます。その庭での今年の最高値を目指すためには、将来を見据えて「余力」を今使うか?将来に温存するか?を選択し続ける必要があるのです。

芝生づくりはアドベンチャー。手入れが同じで良い年なんて一度もない。攻略の連続で仕上げていくから、ピーク芝の歓びは一入なのです(^^)

芝が元気な「今のうち」なら選択できる老朽葉の間引き

病原の侵入は、芝の抵抗が弱ったところ(新陳代謝が悪いところ、傷ついたところなど)から起こることが多いです。芝の見栄え(見かけの密度など)は、とても悪くなりますが、芝が健康な今のうちに弱った老朽葉を取り除いておくと、健康な強い個体がより育ちやすい環境を用意してあげることができます。

くすんだ緑が「老朽葉」鮮やかな緑は「芝刈りの刈りカス」

弱った葉を間引くことで、余分な葉陰を減らし、健康な葉に良好に日が当たりやすくなります。さらには地表部の浸透性・通気性を向上させるなど、この時期の間引きはとても良い効果が期待できます。

やり方は簡単。つまり「やや強めのサッチとり」をするだけです。


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カリカリカリ・・・と、芝の土浅いところ(2~3mm地下)を掻けば、老朽した弱い個体だけが剥がれ落ちます。手作業でやっても、マシンでやっても、効果自体は同じ。

労力の節減と時短を求める人は、電動ローンコームがあるととても便利

専用機と芝刈り機オプションの違いは、この動画で検証しています。地表のサッチ取りなら互角。地下にコームを入れられるのは専用機ダケ。


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手作業の人には、サッチ取り専用レーキがオススメ

特に、小さい黒いほうのレーキは、誰がやってもうまくいくのでオススメ。


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赤い4036〈大)は、角度を寝かして水平にチカラを入れずに使うようにするとうまくいきます。

芝丈を少し長くすることは光合成効率の向上につながります

以前、こんなテーマのブログを書きました。「芝生は人が管理するからこそ、病害になる」。つまり、芝にとって「芝刈り」は害だ!・・・ということです。

tokyo40mile.hatenablog.com

日照が悪くて芝が苦しんでいるときに、追い打ちで強烈な試練を与えるのは逆効果。お庭の環境、芝の状態次第では、芝を低く刈りこむのを少し諦め、「適性長さ」に芝丈を調節してあげることが有効であったりします。

日陰に最も強い芝 セントオーガスチングラス(右)

日陰に最も強い芝、セントオーガスチングラスは、単位面積あたりの葉の面積が広いのです。高麗芝の葉幅を広くすることはできませんから、日照条件によって「長さ」で陽の光に当たる面積を調節します。

梅雨入り前にオススメ、ユニゾン水和剤

本格的に梅雨入りする前には、我が家でも殺菌剤を使います。このユニゾン水和剤は、土に撒くタイプの殺菌剤なので簡単にジョウロで散布できます。

この殺菌剤の特長は「コケが生えにくくなる」こと。長雨が続く梅雨時は、排水対策していても芝の根元にコケが生えることがあるので、この薬を使っておくとだいぶ安心感があります。ゆえに我が家では「梅雨入り前」に使用しているのです。

ローテーションを考慮するなら、プロが選んだこの3点セット。

我が家では、トップグラスを春の予防殺菌に。ユニゾン水和剤を梅雨入り前の対策に。

そして、春はげ症の原因となる秋のリゾクトニア感染対策に、グラステンを使っています。ホームセンターなどで安く手に入る殺菌剤の中では、ラリー水和剤がオススメです。

我が家では2018年~2020年にかけ、ラリー水和剤を多用(当然、ローテーションしながら)したために、現在はローテーションから外し使用を控えています。現在のラインナップを使い終えたら復活する予定。

ちなみに、ラリー水和剤は葉から芝の体内に入るタイプの薬剤なので、展着剤は浸透の機能性を持ったアプローチBiがとても相性が良いのでオススメ。もちろん、このタイプはジョウロではなく噴霧器を使って葉・茎にしっかり付着させます。

一方、グラステン水和剤を使っている人は、地表広くになじみしっかりと定着してもらうために、表面に広がって付着するタイプの展着剤、ミックスパワーが相性がいいです。

薬剤については、ブログで詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。

tokyo40mile.hatenablog.com

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芝生に病害が発生するための必須要因3点

「素因」「主因」「要因」については、GW前のブログで詳しく解説しました。

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病原となる菌たちだって、一生懸命生きています。美しい芝生をつくるために芝丈を短くする以上、かならずついてまわるものです。それなら、病原菌のことや薬剤の耐性菌ができるメカニズムのことを理解しちゃいましょう。

月刊「家庭の芝生」4月号、5月号で、詳しく解説していますので興味ある方はこの動画を見てくださいね!


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次の動画か、ライブ配信、ブログでお会いしましょう。

では、また!