資格を持つと何が変わる?
公的に認められた「資格」を持つメリットの一つは、その人の最低限の技量・知識レベルを、たった一言の単語で初対面の人にも示すことができることです。
たとえばビジネスシーンでは「簿記1級を持っています」と言えば、経理のエキスパートだ!とわかるし、「中小企業診断士です」と言えば企業経営に必要な広範な知識を一通り持つ国家公認の経営コンサルだ!ということがわかるワケです。
相手に自己のスキルレベルを伝えることで、前提の疑い(コイツ分かってるのか?)を払拭して話を聞いてもらうことができます。
芝生についての知識レベルを表す唯一無二の資格が「芝草管理技術者」
芝草管理技術者3級を題材に2時間ライブで語り尽くしております。ラジオ感覚でお楽しみください。
「資格がない」と、芝生スキルを説明するのに苦労する・・・
僕は「家庭の芝生づくり専門」のYouTubeチャンネルを運営していますが、「芝生づくり」についてどれだけの知識を持っているのか?を示すのは大変です。
初対面の人に「僕は、幼少期から芝生のある家に育ち、数年前から逆境の庭での荒れた芝生の再生にチャレンジしています。世の中に市販されてきた芝生の実用書の8割以上を読破し、日本芝草学会にも入会して一生懸命勉強して芝生の生態を理解しています。その知識と経験に基づいて実践したら、なんとコンテストで賞をとれちゃうくらい自分の庭を美しい健康な芝生にすることができた人です。」
・・・って言われても、ピンとこない。
「僕がYouTubeで公開している500本の動画を見てくれたら、きっと僕のスキルがわかります!!」
・・・見ねーよ!!www
【あらためて感謝】こんな状態にもかかわらず、今まで僕のチャンネルの動画を熱心に見続けてくれた「コアファン」の皆さんには、深く深く感謝しています。よくぞ、僕を信用してくれましたね(^^)。ありがとう 信頼に応えて役立つ情報をたくさん発信しますヨ
公的に認められた資格があれば、スキルを示すのは簡単
日本ゴルフ協会(JGA)公認制度の資格「芝草管理技術者」です。と言えば、一定以上の知識を持った人であることは明らか。
特に、専門家の諸先生方とお話する機会に恵まれたときに、前提知識について素人向けにかみ砕く必要がないワケですから、一段上のお話を伺うことができると思います。
これは絶大なるメリットなのです(^^)
今回受験した資格に関する「第16回芝草管理技術者資格認定事業」は、公的な(スポーツ庁の)後援もついています。
芝草管理技術者3級の研修で学ぶのは「プロとしての総合的素養」です
(左が研修タイトル。右は受講した僕の認識整理。講義は50分×全18コマです。)
芝草管理入門・・・芝生の社会的意義も含めた総論です
芝草入門・・・生態学的な観点で「芝生」を学びます
芝地の造成・・・床土のつくり方、芝の植え方から初期養生まで
芝生の一般管理・・・耕転、更新作業の目的と効果的な実践法
芝生の土壌・肥料・・・土壌物理と土壌化学から正しい施肥方法を学ぶ
芝生の病害防除・・・病害の見分け方、発生要因と防除方法
芝生の虫害防除・・・害虫の種類・由来、発生パターンと防除時期
芝生の雑草管理・・・雑草の種類、防除剤の分類別特性と使用法
芝草管理用機械・・・ゴルフ場用機械の種類とメンテナンス、注意点
つまり、芝草管理技術者3級資格を持っている人は、これらの知識は最低限でも持っている人です。
芝草管理の「総合知識」の教育を受けている人の証。
講師陣がスゴイです
学会・部会の最高幹部の有名な先生、その分野の最高位の博士までご登壇されます。
農学部系・生物・化学に全く関係ない学部を卒業した僕が、まさか、廿日出正美博士の害虫講義を受講する日が来るとは・・・感無量なのであります(T-T)スバラシイ
表現はやさしく、内容は高度。それがすべての研修を受けての僕の感想です。
資格試験の難易度は?
プロの教育・啓蒙に主眼を置いた内容です
受験体験(研修・試験)を経てわかったコトですが、素人向けではなく「プロ向け」です。ゴルフ場のコース管理に従事する人が約3割、その他芝生に関連する農業系・建築系・建設系・機械系の人達が多いようです。
個人で素養を身に着けるためにトライする人や、会社命令(または推奨)で受講・受験する人も多いかと思います。研修においても講師から受講者に対し「ウチのコースに高麗グリーンがあるって人、手をあげてください!」なんて質問が飛んだりします。
プロの人が、プロに相応しい「素養」を身に着けるための研修カリキュラム。
研修受講料は約4万円、受験料は過去問題集付きを選択すると約2万円。併せて約6万円かかります。試験は「2年に1度」しかありませんので、「受けるからには絶対に落ちてはいけない」資格。ちょっとした緊張感があります。
大切なのは研修内容を「素養」として身に着けること。試験はその確認です
合格率ムチャクチャ高いのですが、受験の母集団の多くが「プロまたはそれに準ずる人」ですから当然だと思います。
試験は全50問の「正・誤」判定問題。公式テキストの持ち込み可ですので、研修内容・テキスト内容を理解している人なら、間違いなく合格できる内容です。
「暗記力」を試すより、根本的な理解度と実践対応の基礎力をチェックする試験です。
実践で「いざ!」という場面で「何をどう調べれば答えが見つかるか」をちゃんと分かっているか?を試す試験だ。・・・というのが僕の感想です。
素人が一から勉強して「研修内容を深く身に着け」合格するためには・・・
この資格取得の最大の難点は、必須研修(全15時間)の開催・WEB講義は試験の概ね2か月前。それまでテキストすら手に入れることができません。プロ向けだからか「短期集中」なんです。
まったくの芝生「ド・素人」の人は、イキナリ研修を受講しても、最初は何のことかチンプンカンプンかもしれません。プロの入り口くらいの「素養」を身に着けてから研修を受けることをオススメします。(そのほうが、研修内容が深く身につきます)
芝生づくりに関して、一通りの基礎知識を備えている人であれば、「プロの世界の高度な知見」に感動しながら、1回受講するだけですいすいアタマに入ってくることでしょう。そういう人にとっては、特別な勉強をしなくても合格するeasyな試験です。
まったくの「ド・素人」にオススメの勉強法(プロの入り口の”実力”を身に着けるために)
「合格」だけしても意味がない。真に「実力」をつけるための方法を、自己の経験に基づいてご紹介します。
【1】まず、日本芝草学会に入って「春季大会」「秋季大会」に参加しちゃおう!
ネット検索で情報収集しても、それは「レシピ」(誰かが経験した答え)であって「真のスキル」(自分で考え、解決するチカラ)は得られません。
日本最高峰の学術研鑽・研究団体である、日本芝草学会に入会して、芝生に携わる専門家の皆さん、各分野プロの皆さん、ボランティアの皆さんが、いったい何を考え、どんな風に芝と向き合っているのか?そこに触れてみるのが一番です。
学会の春季・秋季大会では、講演者の諸先生に直接質問をすることができます。現在は、オンライン開催ですから、自分の部屋のパソコンから参加できるのが大きなメリット。
<年間費用概算> 正会員として学会に参加して学ぶための費用は意外と安い
入会金1000円(初回のみ)
年会費6000円・・・年2回、学会誌が届きます
春季大会・秋季大会参加費 各5000円(早割申込の場合)
【2】芝草に関する専門書を持ちましょう!
何かを知りたくなった時、本当のことを知りたくなったとき、ネットで検索するより、究極の専門家が出した「知見」から直接学ぶのが一番。
ネットの情報は、受け売りが受け売りを生んで、オリジネーターが誰なのかワカラナイ「噂」が蔓延しちゃっています。本当のことを学ぶには、自らが信用している情報源から取得するのが近道だと思います。
一般市販されている書籍を殆ど読んで保有している僕だからわかる!現在も売っているプロ向け教科書はこの2冊です。(※ 入門書をとっくに卒業した人向け)
芝のことを「細胞レベル」まで知り尽くしたい人向けの専門書(難しい)
芝草管理技術者の公式テキストにおいても、引用元としてこの本が登場したりします。
日本の芝地造成についての論文資料集として役立つ専門書
全国各地の地域特性に合った芝地造成の課題や管理について、論文を体系的にまとめた本です。
自分の庭の芝を育て、わからないことは「入門書」で調べ、それを理解したなら「専門書」で知見を深める。
芝生超ド・素人向けの王道のステップアップ入門書は・・・
イキナリ専門書はキツイ!という人は、ここから始めれば簡単!基礎を知れば知るほど、応用の理解力が上がります。
この2つの書籍。これに、芝生の「社会学・日本の歴史」を学ぶ
この3冊でまったくの素人から一歩脱する「基礎知識」は充分です(^^)
芝生YouTuberとして庭を紹介するなら、これだけ読めばOK。
【3】土壌医検定3級を受験しちゃいましょう!
芝生に関する「プロ」と「アマチュア」で大きな差が出るのは、「土」の理解。土壌は「物理」「化学」の世界なので、素人にとっては取りつきにくい「専門分野」なのです。なんだかよー-わからんわー、、、のブラックボックス。
そして、素人が失敗しやすいのも「土壌管理」。わからないが故、いろんなことをやっちゃい(やらかしちゃい)ます。
「土壌」を理解してしまえば、それはプロへの入口。それなら、直球で「まず、土壌から攻める」。これをクリアしてしまえば、芝草管理技術者の研修の理解力がぐーっと上がります。
土壌医検定3級は、農業高校や大学農学部の学生、農業資材を扱う会社の人達がチャレンジする入門的検定。(もちろん、趣味の家庭園芸の人も多数受験します)
受験料も、希望制講習の受講料も安く、毎年開催されているので、芝草管理技術者とは違って「気軽にトライ」できる資格です。
僕も、先にこの検定に合格することで、芝草管理技術者の「土壌パート」の勉強は、むしろ「得意分野」としてスイスイ吸収することができました(^^)
家庭園芸も含め、植物に携わる趣味を持つ、すべての人にオススメの検定です。
次の芝草管理技術者3級試験まであと2年あります
次回の試験は2024年。申込は2023年中にあります。これから目指す方は、じっくりと「実力向上プラン」を考え、真の素養を身に着けていってください。合格することよりも圧倒的に「素養を身に着けること」が大切だと思います。
植物は、知れば知るほど「知らない領域が広がる」世界。芝生への興味は深まるばかり。この勉強は面白いです。芝への愛情は一層深まり、見える世界がかわってきます。
僕の経験では、研修を受ける前と今とでは理解が段違いです。一つ一つのバラバラな「知識」と「知識」の関連付けが進み、総合的に影響をイメージできるようになりました。この資格は、芝生に携わるプロの人達の素養として役立つはもちろん、芝のことを深く学びたい「家庭の芝生愛好家」の方にもオススメの資格です。
このブログが、どなたかの参考となりますことを願いします。
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次の動画か、YouTubeライブ、ブログでお会いしましょう。
では、また!