芝生の雑学 東京40まいる

芝生の手入れに役立つ雑学専門ブログ

12月初旬の「芝生の手入れ」来年に活かせる芝生づくりの豆知識集

今日から12月です。この季節、お庭の芝生管理で「ちょっと知っておくと役立つ」情報、家庭専門の芝生愛好家のアタマの中身をご紹介します。

芝生のエッジを整えると冬の間中美しい輪郭が楽しめます

暖地型芝の場合、すでにこの季節は葉の生長が止まっています。だから「今」芝生のキワのボサボサにハサミを入れて整えておくと、冬の間中、スッキリとした芝生の輪郭が楽しめます

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芝生の端っこのボサボサは、ハサミで整える

こんな感じでシャープな輪郭が冬の間中、ながーく続きます。

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芝生鋏で整えたエッジ

芝生を切るハサミは何でもイイです。100均の普通のハサミでも「芝を切ること」はできます。ここからは個人の価値感によりますが、せっかく趣味で芝生づくりを楽しむなら、ちょっとだけ贅沢して「ホンモノ」の道具の使い心地を味わうのも楽しいです。

そういう人は、刃物屋さんが真剣に作った「芝生鋏」を使うのも選択肢のひとつ。2000円程度の出費で芝生専用鋏が手に入ります。興味がある方はこちらのブログをご覧ください。しかし、残念ながら既に生産終了なのです・・・なんてこった。

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芝の「穂摘み」はそろそろおしまい

高麗芝など、日本の家庭のポピュラーな芝の多くは種を介さずに繁栄していく栄養繁殖の生態です。もっぱら地上匍匐茎と地下匍匐茎によって生息域を広げ増殖していく性質の植物です。

だから、穂は退化していて自然体では殆ど発芽しません。放置してもイイけど、不要なものなので、なるべくなら無駄なエネルギー消費と養分流失を抑えるために、早いうちに摘んでしまったほうがイイ。

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我が家の秋、恒例の穂摘み

そんな名目で、我が家では毎年、秋の風物詩として穂摘みを愉しんでいます

(※あまり神経質になる必要はありません。やっても、やらなくてもイイ作業です。)

今年の芝にじーっくり向き合う、最後の機会になります。芝の生命力に感謝して、今年もたくさんの思い出をありがとう。と思いながらお別れします。

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家族で楽しむ穂摘み

家族と一緒に、競争しながら穂を摘んだりすると、とても楽しいですよ。

身の丈に合った小さな庭だからできるこだわり管理のアドバンテージ

京阪園芸さんの入門書籍「芝庭つくり コツのコツ」では、オーナーが芝の管理に割くことができる時間や庭の陽当たりなどを考慮して「手に負える広さの芝生レイアウト」にすることの大切さなどにも触れられています。

庭の中の芝生レイアウトについて解説した書籍は少なく「これから、庭に芝生をつくろう!」という人の「芝生エリア設計」に、とても参考になる書籍です。

冬芝の保護に役立つ分厚い枯芝の効能とは

厚みのある芝生草高は、雑草の種の着地の邪魔をし、新しい芽にあたる日光を遮るなど、冬の雑草勢力の初期段階の活動を鈍らせてくれる効果があります。

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我が家の冬芝は芝生草高3.8cmの分厚い葉の層で覆われています

土壌は元々「物理的緩衝能」を備えています。例えば外気温が急激に変化しても土の中は緩やかに変化します。枯芝の厚みは、この緩衝効果を一層高めるのに少し役立ちます。(※芝は強い植物なので、あんまり心配し過ぎなくても大丈夫です。)

具体的には、寒い朝の霜など・・・これらが休眠中の芝の大切な命、芝の根の地中浅いところに影響を与えるのを緩和してくれたり、イイことがたくさんあります。

僕が住む関東南部は比較的温暖な冬ですが、稀に、大雪が降る年もあります。2014年に僕が公開した動画です。神奈川県に住んでいた頃ですが、こんな年もありましたよね。


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冬芝は、真夏からつくる

緻密で分厚い芝の葉の層は、芝の活動が旺盛な時期しかつくることができません。

だから、年間戦術の中で、いつから「冬芝を意識するか?」の切り替えポイントがとても大切。

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我が家の2021年の芝刈り(芝丈管理)戦術

我が家では今年は、8月中旬から、冬に向けた芝生草高づくりを意識して調整しました


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芝丈管理の年間戦術については、月刊『家庭の芝生』5月号で詳しく解説しています。

健康な芝生づくりのための手入れは、年間戦術です。ながーい時間軸で、常に「数か月先」や「来年のこと」をイメージしながら「今やること」を考えて手入れしていきます。


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常にフォワードルッキングとバックキャスティング。未来を想像し「今やるべきこと」を逆算で考える。それが芝生づくりの趣味の楽しさのひとつです。

雑草は「若い芽を摘む」が鉄則。数年で効果が出る最高の省力化

芝生に生えた雑草は、とにかく「赤ちゃん」のうちに摘み続けたほうがいいです。

雨戸をあけたら出勤前にちょっと芝を見渡して小さな芽をつまみとる。・・・この数分の習慣の継続が時間軸の進行とともに絶大なる効果を発揮します

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芽生えたばかりの雑草の赤ちゃん

理由は2つ。

駆除困難な悪質な根を持つ雑草の定着を防ぐことができる

スギナやドクダミハマスゲやカタバミなど、根塊や根茎で増殖していくような雑草は、一度、土壌に根付くと完全駆除が困難です。


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でも、小さな赤ちゃんのうちにコツコツ取り除けば、根は常に完全駆除可能です。

雑草の花を咲かせないことで土壌への種こぼれを防げる

芝生の雑草でとても厄介なのは、実は、空から飛んでくる種じゃなくて、土の中で待っている「休眠種」のほうなんです。

雑草の種の寿命は、短いものでは1年(翌年)、長いものでは何年も地中で休眠し続けられます。今年こぼした種は、来年の同じシーズンに光を浴びると発芽スイッチが入ります。

特に、秋のエアレーションは、冬雑草の休眠種に光を届かせ起爆になることが多い。だから僕は秋はエアレーションしません。

実は「今闘っている雑草」の多くは、去年や一昨年に芝の土壌に落ちた種だったりするのです。

農業の分野では、この休眠種の駆除に大がかりな蒸気処理などが用いられています。


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冬の季節は「若い芽を摘み続ける」+「ぶ厚い芝生草高」で、ほとんど雑草が生えない芝生はつくれます

騙されたと思ってやってみてください。1年目は殆ど効果が出ないと思います。2年目も「だまされた?」って思うかもしれません。まだまだ効果は半ば。

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雑草はこんなに大きく育てちゃダメ!

しかし、3年目・・・「あれ??生えてこない!」と驚き、4年目「確信に変わる」

3年続けても効果が出なかったら、その時は謝ります。ダマされたと思ってずーっと続けてみてください。各段に芝生の雑草駆除が楽になります

ただし、一時も気を抜いちゃったらダメですよ。雑草が種をこぼしたら振り出し(1年目)に戻ります。(雑草だって生き残りをかけて必死なのです。)

植物たちの時間軸に人間側が感覚を合わせましょう

僕たちが向き合っているのは「植物」の命です。彼らは1年を1サイクルとして数年単位の生理的サイクルの中で生きています。

雑草も、虫も、本格的に自律的効果が出るまでは何年もかかるのが普通なんです

それを理解して芝生づくりを楽しむと、さまざまな「現実」が見えてきます。

「人間基準」でせっかちにならず、「植物基準」でながーーい目で変化を楽しんでください

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植物と向き合うときは、ながーーい時間軸で

僕たち人間は、現在、人類史上経験したことがない超高速のデジタル社会の変革を生きています。こんな時だからこそ、変わらぬ「生命」植物たちの時間軸にじーっくり向き合い、想像の世界を愉しんでみるのはいかがでしょうか?「芝生」や「ガーデニング」が、本来の「人間らしさ」を取り戻す素晴らしきリフレッシュになるのだと、僕は思います(^^)

雑草たちは時間をかけて地球を緑にするチカラだってもっています。本来、雑草は地球のため、様々な生態系の正常回転のために「必要なもの」なんです。

それを「人間都合で排除」するのですから、人間側にはそれなりに覚悟がいります。目を三角にせず、こんな感じ(^^;)で微笑み(苦笑し)ながら、雑草の「若い芽を摘む」ことを楽しめたら素敵ですね。

月刊『家庭の芝生』12月号で詳しく解説しています

このブログでご説明したことのほか、来年の芝生づくりに活かせる豆知識をさくさん収録しています。ぜひ、YouTube動画版もご覧ください。

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動画の内容 月刊『家庭の芝生』12月号の話題ラインナップ

この動画に詳細をまとめてあります


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21分超の長ーい動画なのに全視聴回数のうち1/4を上回る人が、最初から最後まで見てくれています(^^)

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